サザンカを増やしたいときに挿し木に挑戦する方が多いです。
挿し木が成功できても「なかなか花が咲かない」「立派な樹形になるまで時間がかかる」ことがよくあります。
おすすめの方法は「取り木」です。
取り木は挿し木よりも早く花を楽しむことができ、最初から太さのある幹や枝の樹を作ることができますので、小さな鉢植えや盆栽素材作りに最適です。
初心者の方でも失敗しないための最適な時期や、環状剥皮・針金巻きといった具体的な手順を多くの写真を使って詳しく解説します。
大切なサザンカを確実に増やして、美しい花を楽しみましょう。
サザンカの取り木のポイント
- 取り木に適した時期は春の3~4月、または梅雨入りの6月頃
- 「環状剝皮」で樹皮を甘皮を残すことなく剥ぐ
- 幹や枝が細い場合は「針金巻き」で針金で強く締め込む
- 発根促進剤「ルートン」を塗る
- ビニールポットで用土は赤玉土の極小粒を使う
- 発根するまで用土を乾かさないように管理
サザンカの取り木は難しいことはなく、「環状剥皮」または「針金巻き」をして発根しやすいように水苔や用土で保護、乾かないように水を与えるだけです。
発根しなければ、何度もやり直すことができますので気軽にチャレンジできます。
サザンカの取り木について
取り木は植物を増やす方法のひとつで、幹や枝の一部を切り取り、別の新しい固体を作る方法です。親木の性質をそのまま受け継ぐことができるメリットがあります。
親木の樹冠部などの幹が太くて小枝が充実した部分を切り取ることで、取り木をした後1~2年である程度の樹形ができ、鑑賞することができるぐらいになります。
種から発芽させる実生や挿し木より栽培の期間が短く、すぐにサザンカの花が咲く樹を作りたい場合に最適な方法です。
サザンカの挿し木をした記事が別にあります。たくさん増やしたい方は参考にして下さい。
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デメリットは樹の負担になりますので、1本の樹に取り木は1つだけにしなければならないことです。たくさん増やしたい場合は挿し木が適しています。
取り木に最適な時期
春に新芽が芽吹く前(3~4月)と梅雨入りの6月頃が取り木に最適な時期です。
春の芽吹く前に取り木をすると、暖かくなった1ヵ月後ぐらいに発根を確認することができます。
梅雨入りの6月頃は樹が活発に生長しているので、2週間後ぐらいで発根していることもあります。根がたくさん増えれば、2ヵ月後には親木から切り離すことができます。
取り木をする樹の状態を確認
剪定や葉刈りは樹に大きな負担がかかるので控えるとよいです。取り木をする樹は元気で状態がよいと発根して成功率が高くなります。
サザンカの取り木をするために樹の負担が減るように「花がら摘み」をしました。別の記事で詳しく書いていますので、参考にして下さい。
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親木が水切れすると取り木した部分に大きく影響します。小さな樹でなく、少し余裕のある大きな樹がよいです。
根を剪定して植え替えをした直後の樹は根の生長が充分でないので、取り木には適していません。
サザンカの取り木の方法
取り木は3つの方法があります。幹や枝の太さによって使い分けをすることで、失敗するリスクを減らすことができます。
針金巻き
幹や枝の太さが直径1センチ以下の場合が適しています。
針金を使って巻き締めることで葉で作られた養分をせき止め、幹や枝が太くなりカルスができ、発根させる方法です。
作業がとても簡単なことがメリット。発根させたい場所に針金を巻いて、水苔や用土で覆い、発根しやすいように湿らせるだけです。
針金が食い込むように強く締め込むことがポイント。幹や枝に傷がついて内部の緑色が見えるぐらいが目安です。
太い幹の場合は針金を巻く溝をカッターなどで削り、針金を巻くと成功率が高くなります。
環状剥皮
| 「環状剝皮」の例(ロウバイの幹に取り木) |
幹や枝の太さが直径1センチ以上2センチ以下の場合に適しています。
幹や枝の樹皮をカッターやナイフで1周、剥いて、水苔や用土で覆い、湿らせて発根させる方法です。取り木の方法の中で最もよく行われています。
樹皮を剥いで内部の木質部まで形成層をキレイに剥ぎ取ることがポイントです。形成層は甘皮のようなもので、残っていると発根しません。
樹皮を剥ぎ取る幅が重要です。幹や枝の太さの1.5~2倍くらいの長さが必要。幅が小さいと傷が繋がって発根しません。
幹や枝が細い場合は作業が難しくなることがデメリットです。
直径1センチ以下で細い場合、樹皮を削っていると幹や枝が折れることがあります。私も何度か失敗していますが、失敗したときに限って樹形のよいことが多く、残念な気持ちになりますので、細い場合は針金巻きをおススメします。
削ぎ上げ
幹や枝の太さが直径2センチ以上の場合。「針金巻き」や「環状剝皮」ができないときに使います。私は大きな樹を育てていませんので、「削ぎ上げ」を使って取り木をしたことはありません。
幹の樹皮を下から上の方向にカッターやナイフで削ぎ上げる方法です。削ぎ上げた樹皮と幹の隙間に水苔を詰め込み、周りも水苔や用土で覆い、湿らせます。
針金巻きや環状剥皮に比べて、幹の一部分だけを傷つけているので発根する確率が低いですが、幹がとても太い場合などに有効です。
親木となるサザンカの鉢植え
取り木をするためには親木が必要です。 親木はホームセンターや園芸店で普通の苗木を購入して鉢植えで育てると移動できますので、管理が簡単になります。
鉢植えにするぐらいの小さな苗木は価格が安く、チャレンジしやすいです。
今回のサザンカの取り木は、ホームセンターで値引き販売されていた苗木を使います。
2週間前の3月16日に剪定をしました。
「取り木」を予定していましたので、樹に大きな負担にならないように軽い剪定にして、2週間、様子をみました。変化がなく順調ですので、「取り木」をします。
剪定をしたときの様子は別の記事で詳しく書いていますので、参考にして下さい。
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剪定のときに幹を短くする「芯止め」をすると樹高を小さくすることができます。取り木をする予定でしたので、「芯止め」をしないで先端の樹冠を残しました。
樹冠は枝が多く、小さな鉢植えを作ることに適しています。取り木をする部分は樹冠がおススメです。
取り木をする位置を決める
サザンカの苗木の樹冠。枝が多くありますので、小さな鉢植えが簡単にできる部分です。取り木をする部分に適しています。よく樹を観察しながら、取り木が成功して小さな鉢植えの完成をイメージして、取り木をする位置を決めます。
完成すれば樹高が15センチで、枝が多くあるサザンカの小さな鉢植えができます。
取り木をする位置を決めるために、いろいろな角度から樹を見て判断します。樹形のよい小さな鉢植えを作るために必要な作業です。
取り木に必要な道具
サザンカの取り木に必要な道具は
- ハサミ
- カッターや小刀などの刃物
- 針金(アルミ線でOK)
- ペンチやニッパー
- 発根促進剤「ルートン」
- 綿棒(「ルートン」を塗るときに使う)
- ビニールポット、ホッチキス
- 水苔や用土(赤玉土の小粒、極小粒)
- 土入れ、竹串
特別なものは発根促進剤「ルートン」だけで、他はホームセンターや100均で購入できる道具です。
大きな鉢受け皿に必要な道具を入れると便利です。取り木をした部分を水苔で覆い、ビニールを巻く方法がよく紹介されていますが、私の経験では水苔を固定することが難しく、乾いたときの水遣りが大変ですので、ビニールポットを利用する方法を使います。
サザンカの取り木【ステップ1】
【ステップ1】ではサザンカの幹や枝に取り木をするまでの作業を多くの写真を使って詳しく説明します。
取り木でよく使用される方法の「環状剝皮」ではなく、「針金巻き」をしました。
取り木をする位置を確認して準備
取り木をする位置を確認します。ハサミで示している部分が根元になりますので、小さな鉢植えが完成したときに重要な部分です。根元から最初の枝分れまでが長いと安定感のない樹形になります。
「環状剝皮」をすると残った幹が細く、折れる可能性があります。失敗した経験から折れる心配が少ない「針金巻き」で取り木をします。
針金の材質は鉄(スチール)、アルミ、銅、ステンレスがあります。100均でも販売されているアルミ線を使います。
計算してもよいですが、幹の直径の10倍と覚えると簡単です。計算式は以下のようになります。
針金の長さ=幹の直径×3.14×3周
サザンカの取り木を「針金巻き」でするための針金の準備ができました。
写真の道具はラジオペンチです。先端が細くなっているペンチですので、取り木の「針金巻き」に使いやすい形状になっています。根元に刃があり、針金を切ることもできますので、便利な道具です。
針金巻く前に樹皮を剥ぐ
ハサミの位置がサザンカの小さな鉢植えが完成したときの用土の表面になります。左右に枝が分かれ、悪くない樹形です。取り木をした部分から発根して根張りができると後から斜めに植え付けることが難しくなります。
多くの樹を取り木で増やして小さな鉢植えや盆栽を作った経験から取り木をするときに少し斜めにするとよいことが分かりました。
最初の枝が右にありますので、幹が左に傾くように取り木をします。
「環状剝皮」では形成層である甘皮を残さないように深く削りますので、残った幹が細くなり、削っている途中で折ることがあります。
「環状剝皮」の場合は、写真ぐらいの削り方では発根しません。
強く締め込むために1周目が大切になります。キレイに巻くポイントは左にある針金の先端を短くすることです。
幹に1周、針金を巻いた状態です。
1周目でしっかり強く締め込むことがポイントです。後から押さえると、押さえたところは食い込みますが、他に隙間ができます。
一番下の3周目は、カルスが下の幹と繋がることを防ぐ効果があります。強く巻く必要はないですが、繋がると発根しませんので、針金は3周巻きます。
サザンカの苗木の樹冠に「針金巻き」をすることができました。
ゆっくり、少しずつ確実に作業することで、取り木の成功率が高くなります。私の経験では、うまくできないときは、焦らないで少し休憩をして、初めからやり直すとよいです。
発根促進剤「ルートン」を塗る
植物の発根を助ける発根促進剤「ルートン」。使用することで発根する可能性が高くなります。
「ルートン」は植物成長調整剤です。有効成分である「α-ナフチルアセトアミド」の効果によって根の成長を促進しますので、挿し木の成功率が高くなります。
ホームセンターや園芸店で販売されています。量が少ないように感じますが、挿し木や取り木を多くする私でも有効期限内に使いきることは難しいです。
綿棒は粉末状の「ルートン」を幹に塗るときに使います。
水で濡らした綿棒を使って、樹皮に水分を含ませると剥がれることなく、うまく塗れます。ちょっとした作業ですが、簡単に濡れるようになるので試してください。
薬剤には適量があります。厚く塗っても成分を吸収できなければ効果はありません。説明書にも塗り過ぎに注意するように記載されています。
サザンカの取り木【ステップ1】が終了です。
サザンカの取り木【ステップ2】
【ステップ2】は取り木をした部分を保護する作業を多くの写真を使って詳しく説明します。
取り木では水苔で覆い、ビニールで巻く方法をよく見ますが、私の経験から作業が難しく、水遣りが大変ですので、ビニールポットを使った方法を紹介します。
幹から発根する原理
サザンカの幹を針金を食い込むように強く締め込む「針金巻き」をした上の部分にカルスができます。
カルスは、植物の切り口などに新しくできた「細胞の固まり」のことです。
植物は傷ついたり、特定のホルモンを与えられたりすると、「葉」や「茎」だった細胞が、一度その役割を忘れて「何にでもなれる状態(未分化)」に戻ります。この状態で増えた細胞の固まりがカルスです。
大きな特徴は、再生能力によりカルスから根や芽を新しく作ることができます。
カルス(未分化の細胞)が根になるように取り木をした部分を保護する必要があります。暗くて湿った状態を維持することで根になろうとして発根します。
ビニールポットを準備
ビニールポットは2号(直径6センチ)と小さなサイズです。幹の太さによって最適なサイズがあります。幹の太さが1センチ前後なら2号で大丈夫。直径2センチぐらいと太い場合は2.5号(直径7.5センチ)になります。
取り木をした部分を保護するためにビニールポットの準備ができました。ビニールポットは価格が安いので、費用を抑えることができます。
用土を入れるには十分な大きさがあります。
写真の針金は100均の商品。アルミ線で園芸の他の作業でも使うことができますので、おススメです。
枝にぐるぐる巻きつけることで、ずれることなく、しっかり設置できます。
取り木した部分が深い(下にある)と乾きにくいですが、発根した根が行き場が少ないです。浅い(上にある)と用土が乾くと取り木をした部分を湿った状態に維持できません。
私の経験では高さの半分(真ん中ぐらい)がバランスがよく、成功率が高いです。
左が赤玉土の小粒、右が極小粒(細粒)です。粒の大きさによって保水性を調節することができます。粒が小さいほうが保水性が高くなります。
ホームセンターや園芸店で赤玉土の小粒を大きな袋で購入して、フルイを使って微塵(粉末)を取り除き、小粒と極小粒に分けています。
極小粒を入れると穴から流れ出ます。小さな土入れがあると入れやすいです。
ビニールポットが小さいので用土は多めです。ビニールポットを大きくすると重くなりますので、不安定になります。強風で幹が折れることがありますので、バランスが大切です。
取り木をしてから1週間から10日ぐらいは、まだカルスができてなく、発根しませんので、水遣りをコマメにする必要はありません。
挿し木と違い、必要な水分は根から葉まで供給されます。
取り木は根から水分が供給されますので、葉が枯れる心配がありません。葉が光合成して作った養分が取り木をした部分のカルスを成長させ、発根する可能性が高くなります。
春の天気は晴れと雨が交互に繰り返されますので、晴れの日の用土の乾きに注意して管理します。風が強い日がありますので、サザンカの苗木が倒れないように気を付けます。
九州地方の福岡県の平野部で育てていますので、急に暑くなる日があり、天気予報は毎日、チェックしています。
取り木が順調ならゴールデンウイーク頃には発根を確認することができます。
根の量が増えれば、乾きにくい梅雨時期の7月に親木から取り外して、サザンカの小さな鉢植えが完成できます。
サザンカの取り木の今後の様子はこの記事を更新します。
サザンカの取り木の今後の様子はこの記事を更新します。