寒い季節に美しい花が楽しめるサザンカ(山茶花)。
挿し木で増やしてコンパクトな小さな鉢植えや盆栽を作ることで、いろいろな場所に飾ることができます。
サザンカの挿し木について「いつ作業すればよいか?」「失敗しないコツは?」と分からないこともあります。
本記事はサザンカの挿し木を成功させるための手順を徹底解説します。
一般的な梅雨の時期以外にも剪定した枝を利用した「春挿し」の実践例を多くの写真で詳しく紹介。
発根促進剤「ルートン」の使い方や赤玉土を使った挿し床の作り方など具体的な8つのポイントをまとめました。
記事を参考してサザンカの挿し木にチャレンジしましょう。
サザンカの挿し木のポイント
- 挿し木に最適な時期は梅雨の6月中旬~7月頃
- 春に伸びた新しい枝を挿し穂に使う
- 挿し穂を2時間ぐらい水につけて水揚げ
- 水の中で切る水切りで切り口を斜めに切る
- 発根促進剤「ルートン」を切り口付近に塗る
- 挿し床の用土は赤玉土の小粒と極小粒
- 直射日光が当たらない明るい日陰で管理
- 乾かないように水遣りに注意する
サザンカの親木
サザンカの挿し木をするためには「親木」が必要です。
「親木」は母樹(ぼしゅ)と呼ばれることがあり、葉のついた枝である「挿し穂」を採取する樹のことです。
挿し木は「親木」と全く同じ性質を持つクローンですので、花が美しい、丈夫で育てやすいなど優れた品種がよく、健康で成長が活発な若い樹が最適です。
写真のサザンカはホームセンターで値引き販売されていたサザンカの苗木です。挿し木や取り木の「親木」として利用できますので、枝が伸びすぎて樹形が悪い苗木でも購入して育てる価値があります。
サザンカの挿し木の時期
サザンカの挿し木に適した時期は梅雨の6月中旬~7月頃です。涼しくなった秋の9月下旬も挿し木をすることができます。
梅雨の時期は雨が多いですので湿度が高く、乾燥して葉が萎れて枯れることを防ぎやすくなります。
発根して根から水が吸収できるようになるまで、ある程度の期間が必要です。それまで葉が萎れて枯れないことが挿し木を成功させるためのカギです。
梅雨時期と秋、どちらがよいか?
梅雨の時期は挿し木に最適な時期ですが、梅雨が明けると暑さが厳しい夏になります。私はいろいろな樹を挿し木をしていますが、鉢の底から根が出て成功しても夏に水切れで枯らした失敗が多くあります。
梅雨時期の挿し木は発根した後の夏の水切れ対策が大切です。
秋の挿し木は春に比べると樹の成長が緩やかですので、私の経験では発根するまでの期間が長くなるように感じます。
メリットは挿し木が成功した後に水切れで枯れすことが少ないことです。デメリットは寒くなる時期が早いシーズンは室内などで保護する必要があります。
梅雨時期と秋、どちらの時期もメリットとデメリットがあります。育てている環境、どのぐらい管理できるか?によって選ぶとよいです。
挿し木と剪定の時期
挿し木をするために挿し穂となる葉がついた枝を「親木」から採取します。樹を育てると避けることができない作業である「剪定」があります。
挿し木と「剪定」の時期が同じであれば、「剪定」した枝を挿し穂に使うことができます。
サザンカの「剪定」に最適な時期は花が咲き終わった3月~4月上旬です。挿し木の時期とは異なります。
サザンカは6月頃から花芽が形成されますので、挿し木に最適な時期である梅雨に剪定すると花が咲かなくなる可能性が高いです。
サザンカの花は枝の先端付近に咲きますので、梅雨時期や秋に挿し木のために枝を採取すると花が少なくなりますので、注意が必要になります。
サザンカの春挿し
暖かくなり始めた3月下旬~4月に挿し木をする「春挿し」。書籍やインターネットで調べましたが、サザンカの「春挿し」についての情報は少なく、一般的ではないようです。
「春挿し」のメリットは寒い冬の休眠から目覚め、芽吹きや根の成長が活発になる時期であることです。デメリットは春は風が強く、乾燥した日が多く、風の影響で挿し穂が動いたり、乾燥で葉が萎れたりすることです。
ホームセンターで値引き販売されていたサザンカの苗木を花が終わった後に「剪定」をしましたので、「春挿し」にチャレンジします。
風の対策は強風の日は室内で管理する。ビニール袋を使った「密閉挿し」や霧吹きで葉水をすることで乾燥を防ぎます。
サザンカを剪定して挿し穂を採取
ホームセンターで値引き販売されていたサザンカの苗木を剪定して挿し木の挿し穂を採取します。必要な道具はハサミです。先端は「取り木」する予定ですので、樹高はあまり変化していません。太い幹を3回ぐらい「取り木」できます。最後は太い幹の盆栽を作るために根元近くの枝を残しています。
剪定した枝で挿し穂を作る
サザンカを剪定した枝を使って挿し穂を作ります。作業の手順をまとめました。
- 水に浸けて水揚げ
- 長さを揃えて、下の葉を取り除く
- 葉を半部に切る「葉切り」
- 水切りで切り口を作る
- 発根促進剤「ルートン」を付着させる
- 水を入れる大きな容器(水揚げ用)
- ハサミ(枝や葉を切る)
- 水切り用の容器とよく切れる刃物
- 発根促進剤「ルートン」
挿し穂(剪定した枝)の水揚げ
サザンカを剪定した枝を水につけて水揚げをします。水揚げする時間は30分から2時間ぐらいが基本です。
水揚げをする時間は一晩などといろいろな情報がありますが2時間ぐらいで十分です。
葉と枝がたっぷり水分を含むことで萎れて枯れることを防ぎます。葉と枝が水に漬かるように水揚げは大きな容器が適しています。
100均の大きな鉢受け皿は価格が安く、いろいろな園芸の作業に使えますのでオススメです。
挿し穂の長さを揃える
剪定した枝は長い枝や短い枝といろいろな長さがあります。挿し木をするための挿し穂は同じ長さにすると挿し床の鉢に挿しやすくなります。
サザンカの挿し穂の長さは10~15センチぐらいが最適です。
挿し穂の下の部分は土に挿しますので葉を取り除きます。
1本ずつ作業しますが、挿し穂が乾かないように水に浸けるようにするとよいです。
挿し穂の葉切り
挿し穂は先端の残した葉をハサミを使って半分ぐらいに切る「葉切り」をします。葉の先端は水切れして枯れやすいです。根がなく水を吸収できないですので、すぐに枯れます。
葉の面積が小さくなりますので蒸散する水の量を減らす効果があります。植物は葉で蒸散することで根から水を吸収します。
根から水を吸収することができませんので、蒸散する量を減らします。大きな葉は2/3ぐらいを切り小さくします。小さな葉は半分に切らないでも大丈夫です。
剪定した枝が挿し穂らしくなりました。
長さを揃え、葉切りをしましたので、剪定した枝が挿し穂らしくなりました。
挿し穂の切り口を作る
挿し穂の一番下の部分は水を吸収しますので、枯れることなく、発根するために大切です。
剪定したときにハサミで切っていますので、よく切れる刃物でキレイな切り口を作ります。
よく切れる刃物はカッターやカミソリがおすすめです。新品の刃を使うことで切れ味がよく、清潔な刃で切ることができます。 樹種や品種によっては切り口から雑菌が入り、枯れることがあります。
切り口を作るときは水の中で切る水切りをします。水が通る管である道管に空気が入ることを防ぐためです。道管に空気が入ると水の通りが悪くなります。
花屋さんなどで切り花を作るときに水切りすることが基本ですので、実績のある方法です。
水の中で切る水切りは大きな容器を準備すると簡単できます。刃物を使う作業ですのでケガに注意します。
「ルートン」は植物成長調整剤です。有効成分である「α-ナフチルアセトアミド」の効果によって根の成長を促進しますので、挿し木の成功率が高くなります。
ホームセンターや園芸店などで購入できます。価格が安いですので使うことをおすすめします。
量が少ないように感じますが、たくさん挿し木をしている私でも有効期限内に使いきることは難しいです。
挿し穂の下を直接、容器の中に入れて付着させることは厳禁です。粉末状ですので水が入ると固まります。
切り口付近と表現しているのは切り口の断面には発根促進剤「ルートン」をあまり付着させてないからです。断面から水を吸収しますので、付け過ぎに注意します。
サザンカの挿し穂を10本作りました。プレステラ105型にギリギリ挿すことができる量です。挿し穂が枯れることがありますので、挿し穂の数が多いほうが、挿し木が成功する可能性が高いです。
親木を剪定して枝から挿し穂を作ることは簡単ですが、多くの挿し穂を作るためには時間が必要になります。
サザンカの挿し床の準備
挿し木で用土を入れた容器のことを「挿し床」と呼びます。発根しやすいように水はけ(排水性)や通気性がよく、雑菌を防ぐために清潔な容器と用土を使います。
サザンカの挿し床は用土は赤玉土の小粒と極小粒、容器はプラスチック製の鉢を使います。
挿し床の容器はプレステラ105型
サザンカの挿し木の挿し床の鉢はアップルウェアーのプレステラ105型にしました。ホームセンターや園芸店で10ヶ組で販売され価格が安いですので、おすすめの鉢です。容器はどのようなものでも大丈夫ですが発根して挿し木が成功した後もしばらくの間、そのままの状態で管理しますので鉢を使いました。
プレステラは根のサークリング現象を防ぐスリットと仕切りが設置され、植物が元気に良く育つ鉢です。
正方形ですので並べて置いたときに隙間がなく、スペースを有効に利用できます。
プレステラ105型の高さは8センチ。
挿し穂が倒れないように挿し穂の長さの半分から2/3ぐらいを土の中に埋めますので、挿し穂の長さから鉢のサイズを決めます。
プレステラ105型の場合、挿し穂の長さは10センチぐらいが最適です。
挿し床の用土は赤玉土の小粒と極小粒
サザンカの挿し床の用土は赤玉土の小粒と極小粒です。
挿し木の用土は配合された専用のものと赤玉土や鹿沼土などがありますが、乾いて水切れしなければ大丈夫ですので好みで選ぶとよいです。
普段からよく使う用土で価格が安く、手に入りやすい赤玉土を使います。
鹿沼土も挿し穂の用土として適しています。
赤玉土の極小粒は直径2~3ミリぐらい。
ホームセンターや園芸店で販売されている赤玉土の小粒を「ふるい」を使って微塵を取り除き、小粒と極小粒に分別して使っています。
サザンカの挿し床の準備
鉢の底は通気性と排水性(水はけ)がよくなるように赤玉土の小粒を入れます。
挿し穂が水切れして乾かないように保水性が高い用土がよさそうですが、根が成長するためには酸素も必要です。
発根した後に根が元気に成長できるようにすると早く鉢上げすることができます。
鉢の高さの半分ぐらいまで赤玉土の小粒を入れます。プレステラではスリットが隠れて見えなくなるまで入れるとよいです。
スリットはプレステラの特徴ですが、粒が小さい極小粒はスリットから流れ出ますので注意が必要です。
プレステラは上部に段差があります。竹串の先端で指している部分です。段差まで用土を入れるとウォータースペースができます。
ウォータースペースは用土の表面から鉢の縁までの空間です。水遣りをするときに水を一時的に溜まりますので、用土の全体へ均等に水を行き渡らせることができます。
一般的には用土の表面から鉢の縁まで2~3センチぐらいと記載されていることが多いですが、私は鉢の大きさによって違うと考えます。小さな鉢なら1センチぐらいでもよく、10号(直径30センチ)以上の大きな鉢の場合は5センチぐらいが適しています。
鉢に入れた用土に水差しで水遣りをして水をたっぷり吸収させます。
挿し穂は葉が萎れて枯れないように水に浸けて水揚げをして水分をたっぷり含ませています。乾燥した用土に挿すと水分を奪われますので、用土に水遣りをする必要があります。
微塵が固まると水はけ(排水性)や通気性が悪くなりますので、透明な水が流れ出るまで水をたっぷり与えます。
用土に赤玉土を使うときは最初の水遣りで微塵を取り除く作業が必要です。
サザンカの挿し木の挿し床の準備ができました。
サザンカの挿し木【実践】
挿し穂と挿し床の準備ができましたのでサザンカの挿し木をします。必要な道具は割りばしなどの棒です。挿し穂の枝より少し太いぐらいが最適です。
挿し床に割りばしなどの棒で穴を作ります。
よく切れる刃物で挿し穂の切り口を作りましたので、切り口が傷つかないように穴を作って挿し穂を挿します。発根促進剤「ルートン」が取れることを防ぐこともできます。
4つの隅とその間に挿した8本の挿し穂は斜めに挿して鉢の縁に当てていますので動くことがありません。
合計10本のサザンカの挿し穂を挿すことができました。
挿し木をした後に水遣りをします。用土の隙間がなくなり締まることによって挿し穂がしっかり固定されます。
挿し木は難しいことはなく、ゆっくり落ち着いて作業すれば誰にでも簡単にできます。
挿し木にラベルの設置
サザンカの挿し木ができましたのでラベルの設置をします。
たくさんの植物を育てていますので名前を忘れることがあります。ラベルの設置をすると水遣りのときに確認できますので便利です。
小さな鉢ですのでホームセンターや園芸店で販売されている小さな園芸用ラベルを使います。幅が約12ミリ、長さが約60ミリの短冊です。
小さなラベルをハサミを使って縦に半分に切ると2倍の枚数になり節約になります。
植物は屋外で管理しますので時間が経過するとラベルの文字が消えて見えなくなることがよくあります。
ラベル用の専用のペンが販売されていますが私の経験では鉛筆が書くほうが文字が消えにくいです。ラベルの表面がツルツルでなく少しザラザラしたものは鉛筆で書くことができます。
プレステラの縁のピッタリの位置にラベルの設置ができました。
サザンカの挿し木後の管理
サザンカの挿し木を成功させるためには挿し木をした後の管理が重要です。
「置き場所」と「水遣り」に注意して管理すれば挿し木の成功率を向上させることができます。
サザンカの挿し木の置き場所
サザンカの挿し木のは直射日光が当たらない明るい日陰で管理します。風が強く吹くと挿し穂が動きますので、強い風が当たらない場所が適しています。
発根するまで時間が掛かる場合は葉が枯れないようにビニール袋を使って「密閉挿し」にします。
ビニール袋やペットボトルを使った「密閉挿し」は葉が枯れること防ぎますが、カビが発生しやすいデメリットがあります。
用土は雑菌が少なくなるように新品を使い、枯れた葉はカビが発生する原因になりますので、すぐに取り除く必要があります。
私は「春挿し」でサザンカの挿し木をしました。春は風が強い日や乾燥する日がありますので、置く場所に特に注意が必要です。
サザンカの挿し木の水遣り
サザンカの挿し木を成功させるためには発根するまで用土の水分を維持することが大切です。
用土が乾かないように管理します。赤玉土の色が変わる程度の湿り気を維持します。水分が多すぎるとカビが発生することがありますので注意が必要です。
水遣りができないときは鉢受け皿や鉢が入る容器に水を入れて底面給水するとよいです。
サザンカの挿し木のまとめ
「サザンカの挿し木のポイント」をもう一度確認して挿し木を成功させましょう。
- 挿し木に最適な時期は梅雨の6月中旬~7月頃
- 春に伸びた新しい枝を挿し穂に使う
- 挿し穂を2時間ぐらい水につけて水揚げ
- 水の中で切る水切りで切り口を斜めに切る
- 発根促進剤「ルートン」を切り口付近に塗る
- 挿し床の用土は赤玉土の小粒と極小粒
- 直射日光が当たらない明るい日陰で管理
- 乾かないように水遣りに注意する
必要な道具をまとめました。
- 剪定や「葉切り」をするためのハサミ
- 「水揚げ」するための大きな容器
- 「水切り」で切り口を作るための容器とよく切れる刃物
- 発根促進剤「ルートン」
- 挿し床の鉢と用土(赤玉土の小粒と極小粒)
- 挿し穂を挿す穴を作るための割りばしなどの棒
サザンカの挿し木のポイントは8つ、必要な道具は6個です。必要な道具を準備できれば、難しいことはありません。気軽にチャレンジできます。
サザンカの挿し木の今後
サザンカの挿し木の今後の様子は、この記事を更新します。発根の様子、鉢上げして小さな鉢植えや盆栽を作るまでを記録します。
3月16日にサザンカの挿し木をしました。九州地方の福岡県の平野部で栽培していますので、昼間は暖かくなり始める時期です。朝は冷え込みがありますので、暖房を入れない室内で管理します。
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