南天(ナンテン)の実。
南天は、「難を転ずる」ことに通じますので、自宅の庭に縁起木、厄よけ、魔よけとして植えらることが多く、和風の家には現在でも人気の樹木の1つです。初夏の6~7月に花が咲き、秋の11月ぐらいから冬の間、実を楽しむことができます。
庭に植えられた南天に実がありましたので、種を取り出して種まき(実生)をします。発芽した苗木を使って南天のミニ盆栽を作ります。
多くの写真で詳しく説明していますので、参考にして下さい。
南天の枝から実を採取します。種は小さいですので、鉢受け皿などの容器の中で作業すると、種がこぼれることがありません。南天の種まきのポイント
- 種まきの時期は、秋から冬に「採りまき」、または春。
- 種を低温状態にして休眠打破させる。
- 種を水につけて、水分をたっぷり含ませる。
- 種床は、どのような容器でもよく、普通の鉢が簡単。
- 種まきの用土は赤玉土、または、種まき専用の用土。
- 発芽するまで明るい日陰で乾かないように水遣りをして管理。
南天の種まきの時期
南天の種まきの時期は、秋から冬に種まきする「採りまき」と、暖かくなった春に種まきする2つの時期があります。南天の種まきは種を採取して、すぐに種まきをすることにしました。
南天の種は一定期間の低温状態を必要とする「低温要求発芽種子」です。
屋外で冬の寒さに当てるか、冷蔵庫で低温状態にすることで発芽率がよくなります。休眠打破と呼ばれるものです。種は休眠状態ですので、一度低温にすることで目覚めさせ、発芽できるようにします。
秋から冬の採りまき
涼しくなった秋から冬の「採りまき」は、種を保管する必要がなく、自然の環境に近いです。デメリットは、暖かくなる春に発芽するまでの期間が長くなりますので、長期間、乾かないように水遣りをして管理する必要があります。
南天の実が熟して柔らかくなった頃に、実を採取して種を取り出して、種まきをします。
暖かくなった春にまく
種を保管して、発芽する気温になる春に種まきする方法は、種が完全に乾燥しないように、湿ったキッチンペーパーなどに包み、保管しなければなりません。
種は、一度、寒さに当たることで休眠打破して、発芽しますので、冷蔵庫などで保管する必要があります。
冷蔵庫で乾燥させることなく保管することは難しく、デメリットになります。種まき後は2~3週間ぐらいで発芽しますので、管理が簡単なことがメリットです。
南天の実から種を取り出す
南天の実は、鳥が食べることがありますが、果実がほとんどない実でも食べなければならないほど、冬は食べるものがないようです。
実を潰したときに、種が飛んで紛失することもありませんので、おすすめの方法です。
完熟していない赤い実の種と完熟した黒い実で、種の発芽率に違いがあるか?興味があるので、分けることにしました。
手前の白くてキレイな種が赤い実から取り出した種。奥の種は完熟した黒い実から取り出した種になります。
果実には、発芽を抑制する成分が含まれていますので、キレイに取り除きます。
発芽率をよくするためには、南天の種を1日ぐらい、水に浸けるとよいです。長期間、種を水に浸けると酸欠状態になりますので、注意して下さい。小さな種ですので、1日、水につければ十分です。
水に沈む種が発芽しやすいので、常温の水につけることで、種に水を含ませる種まきの準備と種の選別の2つの作業が同時にできます。
南天の種は多くありませんので、容器は駄温鉢にしました。
鉢底石の上に、南天の種まきの用土である赤玉土の小粒を入れます。
種まきをして、発芽後、しばらくの間、苗を栽培するだけですので、ホームセンターなどで販売されている安い赤玉土でよいです。
南天の種まき
南天の種と種床の準備ができましたので、種まきをします。
種まきは種の採取や種床の準備が大切です。種の数が多い場合は時間がかかり、根気がいる作業になります。
種床に種をまく
中心付近に完熟した黒い実から取り出した種を置き、南天の発芽率の違いを確認できるようにしました。
南天の種まきは覆土(ふくど)をします。種の大きさが5ミリでしたので、覆土の厚さは種の厚さの2~3倍が適切ですので1センチぐらい覆土をします。
覆土(ふくど)は種まきをした後に種の上にかぶせる用土のことです。
覆土をすることで、種が鳥などから食べられることがないように保護して、水分や湿度などの環境を発芽しやすい状態に維持することができます。
プリムラなどの一部の植物は、光が当たることで発芽する好光性種子(こうこうせいしゅし)ですので、覆土をしません。
種を水に浸け、水分を含ませました。乾燥している用土に水分を取られることを防ぐために、種まきをした後はすぐに水遣りをします。
用土に赤玉土を使うと粒の表面にとても小さな微塵がついていますので、鉢の底から茶色の濁った水が流れ出ます。
微塵は水はけ(排水性)と通気性を悪くしますので、鉢の底からキレイな透明な水が流れるまで、水遣りをします。
南天の種まき後の管理
南天の種まきをした後は、直射日光が当たらない明るい日陰、風通しのよい環境で管理します。
発芽に必要な環境は、3つの要素があります。「水分」「酸素」「温度」です。
「水分」は用土の表面が少し乾いたら、たっぷり水遣りをします。完全に乾かないように注意が必要です。
水遣りができない日は、鉢受け皿に水を入れて管理するとよいです。長期間(3日以上)、鉢受け皿に水を入れた状態にすると過湿で種が腐れることがありますので、気をつけて下さい。
「酸素」は通気性のことになります。用土に粒状の赤玉土を使っていますので、水分が適切であれば、赤玉土の粒と粒の隙間に空気がありますので、種に酸素を供給できます。
「温度」は発芽に適した温度である15~20度と、種を一度、低温に当てる休眠打破の2つがあります。
冬に屋外で管理すれば、休眠打破することができます。冬は乾燥して、風が強く吹きますので、寒い日でも用土が乾き、水遣りが難しい季節です。用土が完全に乾かないように管理します。
暖かくなる春に発芽に適した温度になりますので、屋外で管理します。
南天の種まきの今後
南天(ナンテン)の種まき(実生)を、本格的に寒くなる前の12月12日にしました。九州地方の福岡県の平野部で栽培していますので温暖な気候です。12月になり、朝晩は冷え込むようになりました。寒いですが風が強く吹くと用土が乾きますので注意が必要です。
種を採取して、すぐに種まきをする「採りまき」です。種を保管する必要がありませんが、発芽するまで、長期間、種床を乾燥させないように、水遣りをして管理する必要があります。
南天(ナンテン)の種が発芽して苗木になるまでの様子はこの記事を更新します。
更新しました。
南天の発芽
5月31日、撮影。南天の種まきは成功です。種から発芽した苗木が9つあります。円形に並べたキレイな種から発芽した苗木が多いです。南天の種まきは赤い実から取り出したキレイな種が発芽率がよいことが分かりました。キレイな種は26個ぐらいありましたので、南天の種まきの発芽率は35%ぐらいです。
もう少し成長してから、キレイな陶器の鉢に植え替えをして南天のミニ盆栽を作る予定です。
南天の種まきのまとめ
南天の種まきのポイント
- 種まきの時期は、秋から冬に「採りまき」、または春。
- 種を低温状態にして休眠打破させる。
- 種を水につけて、水分をたっぷり含ませる。
- 種床は、どのような容器でもよく、普通の鉢が簡単。
- 種まきの用土は赤玉土、または、種まき専用の用土。
- 発芽するまで明るい日陰で乾かないように水遣りをして管理。
南天の種まきに特別な方法はありません。用土が乾かないように、日々、管理することが大切です。
南天の種まきの発根率は35%ぐらいであることが分かりましたので、参考にして下さい。
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