ホームセンターの片隅で値引きされたクチナシの苗木を見つけたことはありませんか?「安くなっているけれど、ちゃんと育てられるかな?」と迷ってしまう方も多いはず。
売れ残った苗木でも適切な剪定と植え付けを行えば、驚くほど立派に復活させることができます。
クチナシは初夏に咲く純白の花と甘く優雅な香りが最大の魅力です。
この記事では380円で購入した訳あり苗木を使い、鉢植えでコンパクトに楽しむための育て方のコツを解説します。
土の配合から根詰まりの解消法、さらには天敵であるオオスカシバ対策まで、実体験に基づいた管理ポイントをまとめました。
初心者の方でも気軽にチャレンジできる、クチナシ栽培の楽しさをお伝えします。
クチナシの育て方のポイント
- 日当たり、風通しがよい場所で育てる。(西日に注意)
- 植え付け・植え替えは3月~4月が適しています。
- 用土は市販の培養土。作る場合は赤玉土と腐葉土を7:3で配合。
- 水遣りは、鉢の土が乾いたら、たっぷり水を与えます。
- 肥料は冬の寒肥と花後に少量を与える。
- 花後に伸びすぎた枝を短く剪定。
- 挿し木で簡単に増やすことができます。
クチナシの育て方:カレンダー
※関東地方より西の地域を基準。
クチナシの特徴
クチナシはアカネ科クチナシ属の常緑低木。学名はGardenia jasminoides、庭木で1~2メートルぐらいで、枝が増えやすく、濃い緑色の美しい葉がたくさん付きますので垣根としても人気があります。
梅雨の時期である6月~7月に白色の涼しげな花が咲きます。花の形は、一重咲きと八重咲きがあり、甘い香りが特徴で香りを楽しめます。三大香木の1つです。
梅雨の時期である6月~7月に白色の涼しげな花が咲きます。花の形は、一重咲きと八重咲きがあり、甘い香りが特徴で香りを楽しめます。三大香木の1つです。
三大香木(さんだいこうぼく)は、特に香りが強い花を咲かせる3つの樹木のこと。春のジンチョウゲ(沈丁花)、夏のクチナシ(梔子)、秋のキンモクセイ(金木犀)になります。
一重咲きの品種は、秋になると橙赤色の実を付けます。実は熟しても裂けることはありません。一般的な実は熟すと先端が裂けて種が放出しようとします。クチナシは実が裂けないことが名前の由来とされています。
クチナシの育て方(詳細)
栽培に適した環境・置き場所
クチナシは明るい日陰や、午前中に日が当たる半日陰での栽培が適しています。特に夏の強い西日は葉焼けの原因になるため避けます。日陰でも育ちますが、1日のうち半日ほど日に当ててあげると花つきがよくなります。
寒さにはやや弱い性質ですので、暖地は庭植え(地植え)で冬を越せますが、寒冷地では鉢植えにして冬場は室内に取り込むなどの保護が必要。冬の乾燥した冷たい風に当たると枝先が枯れることがあるため、鉢植えの場合は季節に合わせて移動させて管理します。
クチナシに適した用土
クチナシは水はけと水持ちのバランスがよい土を好みます。ホームセンターや園芸店で販売されている庭木用の培養土で育てることができます。
単用土を使って配合する場合は、赤玉土 7:腐葉土 3 の割合で混ぜた用土が最適。
植え付け・植え替えのコツ
植え付け・植え替えの適期は、気候が穏やかな春(4月〜5月)と秋(9月〜10月)です。極端に暑い時期や寒い時期を避ければ、住んでいる地域の気温に合わせて作業して大丈夫です。
クチナシは根の生育が旺盛で根詰まりを起こしやすいため、1〜2年に1回のペースで植え替えを行います。伸びすぎた長い根は短く切ります。鉢のサイズを大きくしない場合は根を多めに整理するため、回復が早い「春の植え替え」がおススメ。
クチナシの水遣り
乾燥に弱い性質があるため、用土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るくらいたっぷり与えます。
春・秋: 1日に1回程度
夏: 1日に2回(朝・夕の涼しい時間帯)
冬: 3〜4日に1回程度(土の乾き具合を見て調整)
クチナシの肥料
生育期にあたる春と秋に肥料を与えます。用土の表面に「緩効性化成肥料」または「玉肥(油かす)」を置き肥が最適です。
クチナシは多くの肥料を必要としません。与えすぎると「肥料焼け」して、葉の先端や縁が茶色く枯れたり、根が傷んで株全体がしおれたりしますので注意が必要です。
肥料が少ないと心配になりますが、根が傷むと花が咲かない原因にもなりますので、肥料の説明に書いてある半分の量で与えると失敗することがありません。
クチナシの剪定
剪定は必ず「花が終わった直後」に行います。
クチナシは7月から9月に翌年の花芽をつける性質があります。夏を過ぎてから剪定すると新しく伸びた枝の先端にある大切な花芽を切り落として、翌年に花が咲かなくなります。花が咲き終わったら、できるだけ早めに剪定することが美しい花を毎年、咲かせるためのポイントです。
枝が長く伸びて、大きくなり過ぎた場合は秋に剪定をしても枯れる心配はないです。枝の先端に花芽がありますので、剪定した枝は花が咲くことはありません。
クチナシの病害虫
クチナシは高温多湿を好む常緑低木で病気の被害は少ないですが、初夏に害虫被害が発生します。
イモムシが発生しやすく、葉を食べます。放置すると葉がすべて食べられ丸坊主になり、つぼみまで食べられます。特に5月から10月はオオスカシバの幼虫が発生しやすく、対策として6月頃にスミチオン乳剤の1000倍液を葉の裏と表に散布します。
主に発生する病気は斑点病とすす病です。
- 斑点病:4月~10月にカビ(糸状菌)によって葉に茶褐色の病斑ができる病気。発生した葉を取り除き、風通しがよい場所で管理します。
- すす病:アブラムシやカイガラムシなどの排泄物を栄養にしてカビが繁殖して、葉や枝が黒く汚れて光合成が妨げられる病気です。原因である害虫を駆除することが効果的な予防・対策。
クチナシの植え付け:実践
ホームセンターの処分品で380円で購入したクチナシの苗木を使い、鉢植えでコンパクトに楽しむための植え付けについて多くの写真を使って詳しく解説します。
ホームセンターで見つけたクチナシの苗木
ホームセンターでは苗木は季節商品です。花が咲く前など売れそうな時期に入荷して、販売しています。すべて売れるとよいですが、売れ残ることもあります。売れ残った苗木を値引きして販売しているホームセンターを見つけて、月に1回ぐらいは見に行くようにしています。売り場の隅に値引きしてある苗木の中からよさそうなものを見つけます。
クチナシの苗木に付いてあったラベルです。「値下げしました」のシールが貼ってあり税込み380円になっています。とてもお買い得になっています。
根元には「ひこばえ」があり、根元から右斜め上に伸びている枝も「ひこばえ」だった可能性が高いです。1年間以上、店頭にあったかもしれません。
枝が伸び放題の苗木で樹形がよくないので、幹と枝を赤い線で剪定してコンパクトな鉢植えにできます。
先端の今シーズン伸びた枝は、挿し木にすることができます。挿し木にすれば好みの樹形を作ることができます。
売れ残って値引き販売されている苗木ですが、ちょっと工夫すれば、立派な樹木にできます。価格が安いと気軽にチャレンジできることがメリットです。
普段から、興味のある樹木の名前をメモしておくと安い苗木を見つけたときに、スムーズに買うことができます。その場でスマホで検索することもできますが、時間がかかります。
クチナシの苗木を鉢に植え付ける
ホームセンターや園芸店の樹木の苗木は、鉢植えで栽培できます。剪定して樹高を低くすれば、ベランダで栽培することもできます。植え付ける鉢の準備
栽培を重視して、駄温鉢の7号(直径21センチ)を用意しました。苗木のビニールポットは4号(直径12センチ)です。小さい鉢植えにしたいなら6号(直径18センチ)がよいです。駄温鉢にクチナシの苗木を入れて、植え付け後をイメージします。
鉢の底に大きな穴が開いています。
鉢底ネットを置きます。
排水性をよくするために底石を2~3センチぐらい入れます。底石は、たくさん種類がありますが、どのようなものでも大丈夫です。
再利用するならネットに入れると用土と混ざることがありません。
用土の準備
クチナシの用土を赤玉土(小粒)と腐葉土を混ぜて作ります。赤玉土などを大きな袋で購入しています。保管する場所が必要になることが欠点です。一般的な培養土で栽培できます。植え替えの間隔が1~2年と短いので、価格が安いものでよいです。高価なものは長期間使っても品質が維持されます。
赤玉土:腐葉土を7:3の割合にするために土入れで量ります。 腐葉土を土入れに1杯。
赤玉土を2杯と
1/3杯で、7:3の割合になります。土入れに半分くらい入っていますが底に向かって細くなっているので、このくらいで1/3杯です。
スコップで均一になるように混ぜます。
駄温鉢に半分くらいまで用土を入れて、鉢の準備が終わりです。
苗木の植え付け
植え付けに必要な道具は、ハサミ、根捌き(竹串・フォーク)、植え替え鎌(ナイフ) です。根捌きまたは根掻きは、根をほぐす道具です。竹串・フォークで代用できます。
植え替え鎌は、鉢の内側の根を切って苗木を取り出すときに使う道具です。食器のナイフで代用できます。
園芸の専用の道具は使いやすいかもしれませんが、購入しようとすると大・中・小などのサイズがあり、どれにするか?悩みます。
代用品を使って、いろいろな作業をしてから本当に必要な道具を購入すると費用を抑えることができます。
植え替え鎌は、鉢の内側の土の隙間に入れて、1周します。
根詰まりしています。土がほとんどありません。根の塊になっています。
表面の土も竹串で崩すことができません。
100均の菜ばしの小さなフォークでも硬くて無理です。
ステンレス製のフォークで突き刺すことができました。
底を見ても、すべてが根です。このまま植え付けると水通りが悪く、通気性もないため根腐れします。
ひどい根詰まりには、最終手段としてハサミで根を切るしかありません。
底をハサミで切って、横もハサミで切ります。 根の量が大きく減ります。
根の量が減ると、枯れることが心配になりますが、葉を減らしたり、植え付け後の管理をしっかりやれば大丈夫です。
水で根洗いして、土を落とします。土と一緒に細い根は切れます。
残った根だけでも十分な量があります。
長い根、向きの悪い根を剪定しました。
準備した鉢の中央に置きます。鉢の8分目まで用土を入れるので、根元の位置が低いときは底の用土を追加します。
根が埋まるように用土を入れます。 最後の表面の用土を赤玉土だけにすると見た目がよく、乾き具合が見やすいです。
植え付けの仕上げは、水遣りです。たっぷりと水を与えます。
樹高が高いので支柱を使って固定します。植え付け後は、まだ根が不安定です。風で動くと成長した細い根が切れて、水を吸う力が弱くなります。
1週間から10日ぐらいは、明るい日陰で管理します。毎日水遣りをして葉の様子を観察します。
葉がしおれることがあれば、根の量に対して葉の数が多い可能性があります。古い葉や形の悪い葉をハサミで切るとよいです。
クチナシの栽培記録:1年目
クチナシの苗木を5月22日に鉢に植え付けました。植え付け後に葉が枯れることがなく、順調に栽培できているので、6月10日に長く伸びた枝を剪定しました。クチナシ(ガーデニア)の花が咲く時期は6月下旬から7月上旬です。今シーズンの花は期待できないので、樹形を作ることを専念して剪定をしました。
とても小さく心配になりますが、新芽が芽吹いてちょうどよい樹高に成長します。花後の7月から9月に来シーズンの花芽ができるため、秋以降に剪定すると花が少なくなります。
クチナシは、芽吹きがよいですので、不要な芽を取り除くとよいです。
6月28日の鉢植えのクチナシは葉が少なく、植え付けのときの用土に肥料を入れていないので、肥料を与えました。
与える量をラベルで確認して、少なく与えて様子を見るとよいです。多くの肥料を与えると根が枯れることがあります。
7月20日撮影。鉢植えのクチナシにたくさん新芽が芽吹きました。このくらいのサイズで枝の数が多くなると雰囲気がよくなります。
夏の間にたっぷり日を浴びて、来シーズンの花芽がたくさんできることを願います。
クチナシ(ガーデニア)は花が咲きていない時期でも、濃い緑の葉を楽しむことができます。コンパクトな鉢植えは狭いスペースに置くことができるので、おすすめです。
クチナシの害虫対策
クチナシは、初夏に害虫被害が発生します。オオスカシバの幼虫が発生しやすく、葉を食べます。放置すると葉がすべて食べられ丸坊主になり、つぼみまで食べられます。対策として6月頃にスミチオン乳剤の1000倍液を葉の裏と表に散布します。
殺虫剤はできるだけ使用しないほうがよいと考えています。栽培をして被害が大きければ、使用するようにしています。
クチナシの新芽が食べられていることに、水遣りのときに気づきました。葉が食べられたり、黒いフンがあったりしますので、水遣りのときに注意して観察しましょう。
葉の裏を確認するとイモムシを見つけることができました。黒い角があるのでオオスカシバの幼虫です。葉をたくさん食べて5センチ以上に成長します。
すべての葉を確認して卵を取り除きました。卵を産み付ける時期は注意して確認しましょう。
卵なら簡単に取り除くことができ、クチナシの葉に被害がありません。小さな鉢植えですので5分ぐらいで確認できます。大きいクチナシは対策が難しいので、殺虫剤を利用しましょう。
クチナシの栽培記録:2年目
2年目の5月10日、撮影。
クチナシは、冬の寒さの影響で、葉が少し黄色になっています。暖かくなった5月頃に手入れをして、初夏に美しい花を楽しみます。
クチナシの春の手入れ
クチナシは根の成長が旺盛ですので、鉢植えで育てると根詰りしやすいです。2年に1回ぐらいで植え替えをします。
植え替えをしなかった年は、竹串で土を突き、水通りのよくするとよいです。
水遣りで、表面の土が崩れないように軽石を敷きました。
散水ノズルで水遣りをしていますので、水流が強く、赤玉土の粒が崩れることがあります。
クチナシの害虫の予防
クチナシは、オオスカシバの幼虫が発生しやすく、芽吹いた新芽を食べられることが多いです。土の中に埋めたり、土の表面にばらまいたりして使いますので、薬剤が風で飛ぶ心配がありません。
クチナシの鉢植えの表面の土に、ばらまきました。
クチナシに肥料を与える
クチナシは、暖かくなった春に芽吹きますので、肥料を与えます。N(チッソ)、P(リン酸)、K(カリ)が5:8:5と、P(リン酸)が多めの花が咲く植物用の肥料です。
5:8:5で合計18、合計の数字が30未満ですので、低度化成肥料になります。30以上は高度化成肥料です。
強くありませんので、気軽に使うことができる肥料になります。
数字が大きいほうが得した気分になりますが、肥料に弱い植物がありますので、注意が必要です。
肥料は説明書をよく読み、適量を与えましょう。
100均のマドラースプーンに1杯で3グラム、少量の肥料を追肥として用土の表面にまきます。
肥料は少なく与えて、葉が黄色になったり、成長が悪かったりして、足りない場合は追肥します。
クチナシの鉢植えは、葉の色が緑になりました。
クチナシの鉢植えに、大きな変化はありません。
クチナシの鉢植えに、花が咲きました。
ホームセンターで値引き販売されていた苗木ですが、花が咲くまで復活することができました。購入した年は剪定をしましたので、花が咲きませんでしたが、2年目には美しい花を咲かせることができました。
