盆栽の松の中で人気が高い五葉松。葉が5つに分かれていることが名前の由来です。一般的な松である黒松や赤松は、2つに分かれています。
五葉松は葉が短い品種が多く、コンパクトなミニ盆栽に適した松になります。挿し木で増やすことが難しく、人気が高いですので、五葉松は、黒松や赤松と比べると少し高価です。
育てている五葉松の芽切りをしましたので、新芽を使って五葉松の挿し木にチャレンジします。発根する可能性は低いですが、成功すれば、五葉松の素材を増やすことができます。
五葉松は、発根率がよくなく、挿し木は難しいとされていますので、本当に難しいか?確認します。
五葉松の鉢植え
五葉松を鉢植えで育てています。品種は、四国五葉松になります。
初めて購入した五葉松ですので、育て方を学ぶために、針金をかけることもなく、普通に育てています。
五葉松の取り木にもチャレンジしています。
取り木の様子は別の記事に詳しく書いていますので、参考にして下さい。
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五葉松の鉢植えの樹高は18センチぐらいあります。
直径9センチ(3号)の駄温鉢に植えています。
五葉松の芽切り
今シーズンは
五葉松の成長がよく、新芽が長く伸びています。
松は新芽のことを「ミドリ(みどり)」と呼ぶことがありますので、芽摘みや芽切りとミドリ摘みは同じことです。
新芽が5センチぐらいと長く伸びていますので、樹高が大きくならないように、
芽切りをします。
五葉松の
芽切りは、ハサミで新芽の根元を切るだけです。
2番目を期待する場合は、新芽の根元を少し残して芽切りすると安心できます。
小さな新芽を残しました。
長く伸びた新芽をすべて切りました。
五葉松の鉢植えはスッキリして、バランスがよいです。
樹高が15センチぐらいになりましたので、管理が簡単になります。
五葉松の挿し木の時期
五葉松の挿し木に適した時期は4~6月です。
五葉松は、発根するまで時間が掛かりますので、梅雨入り前がおすすめです。
前年に伸びた枝を使う挿し木は、「古枝挿し」と呼ばれます。「春挿し」と呼ぶこともあります。
新しく芽吹いて伸びた枝を使う挿し木は、「緑枝挿し」になります。
「古枝挿し」と「緑枝挿し」、それぞれにメリットとデメリットがあり、樹種によって成功率が異なります。
挿し木に適した時期は、その植物がよく成長する時期の少し前です。挿し穂の発根がよく、剪定で切った枝の回復も早くなります。
五葉松の挿し穂を作る
五葉松の鉢植えを
芽切りすることで、8つの新芽を手に入れることができました。新芽を使って、
五葉松の
挿し穂を作ります。
挿し穂の下の方は、土に挿しますので、葉を取り除きます。
手で取り除くと、樹皮が剥がれることがありますので、葉の付け根をハサミで切るとよいです。
先端の
葉を残しました。
葉から蒸散する水の量を減らす効果があります。植物は、葉で蒸散することで、根から水を吸収します。
根から水を吸収することができませんので、蒸散する量を減らします。
芽切りした新芽をすべて挿し穂にしました。
挿し木の成功率は、樹種や管理によって大きく変化します。挿し穂の数は、多いほうがよいです。
五葉松の挿し穂は、8本あります。すべての挿し穂が、発根することは難しいですが、2~3本成功することを目標にします。
大きな
挿し穂が5本、小さい
挿し穂が3本。どちらのほうが
発根しやすいか?確認します。
五葉松の
ミニ盆栽の素材を手に入れるために、実生(種まき)をして育てています。
発芽して3年目になりますが、幹が細く、
ミニ盆栽ができるまで、多くの年数が必要です。
新芽のほうが太く、五葉松の挿し木が成功すれば、実生(種まき)より早くミニ盆栽を作ることができます。
五葉松の実生(種まき)の様子は、別の記事に詳しく書いていますので、参考にして下さい。
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五葉松の挿し穂の水揚げ
五葉松を芽切りして、新芽から作った挿し穂を水揚げをします。水揚げする時間は、30分から2時間ぐらいが基本です。
水揚げをする時間は、一晩などといろいろな情報がありますが、2時間ぐらいで十分です。
葉と枝がたっぷり水分を含むことで、萎れて枯れることを防ぎます。葉と枝が水に漬かるように、水揚げは大きな容器が適しています。
五葉松などの松は、挿し木の成功率が低く、難しいとされています。
松は、幹や枝が傷つくと松脂(まつやに)がでます。松脂が原因で、発根が悪いという情報がありますので、一晩、水揚げをして、挿し穂の切り口からでる松脂を少なくすることにしました。
五葉松の挿し木に必要な道具
五葉松の挿し木に必要な道具は、
- 発根促進剤ルートン
- カッターやカミソリなどの刃物
- ハサミ
- 鉢
- 割りばしなどの棒
- 赤玉土の極小粒(細粒)
- ビニール袋とビニールタイ
ホームセンターや100均で購入できるものになります。
五葉松の挿し穂の切り口を作る
挿し穂の一番下の部分は、水を吸収しますので、枯れることなく、発根するために、大切になります。
芽切りしたときにハサミで切っていますので、よく切れる刃物でキレイな切り口を作ります。
よく切れる刃物は、カッターやカミソリがおすすめです。新品の刃を使うことで、切れ味がよく、清潔な刃で切ることができます。
水面に油のようなものが浮いています。松脂です。挿し穂の切り口が松脂で覆われると、水を吸収することができなく、発根が難しいと考えられます。
切り口を作るときは、水の中で切る水切りをします。
水が通る管である道管に、空気が入ることを防ぐためです。道管に空気が入ると、水の通りが悪くなります。
花屋さんなどでも、切り花を作るときに水切りすることが基本ですので、実績のある方法です。
切り口を斜めにすることで、断面積を大きくして、水を吸収しやすくします。
太い枝は、反対側も斜めに切り、クサビ形の切り口にするとよいです。
五葉松の
挿し穂が完成しました
五葉松の挿し床の準備
挿し木で用土を入れた容器のことを挿し床と呼びます。五葉松の挿し床は、プラスチック製の鉢を使います。
挿し穂の長さの半分から2/3ぐらいを土の中に埋めますので、挿し穂の長さから鉢のサイズを決めます。
鉢の直径は10.5センチ、3.5号になります。
五葉松の挿し木は、発根が難しいですので、挿し穂が枯れにくい密閉挿しをします。
密閉挿しは、湿度を高く保つことで葉からの蒸散を抑え、挿し穂が萎れて枯れることを防ぐ方法です。
鉢をビニール袋で覆い、密閉しますので、高さが大きい鉢が必要になります。
水はけがよくなるように鉢底石を敷きますが、密閉挿しで管理しますので、水遣りのときにビニール袋を外すことが面倒です。
鉢底石の代わりに、赤玉土の小粒を敷きます。水を吸収できますので、ビニール袋を外すことなく、底面給水で、水遣りができるようになります。
鉢の底が見えなくなるぐらいに、赤玉土の小粒を薄く敷きます。
暑い夏は、
水切れしないように、
腰水で管理しますので、
鉢底石でなく、
赤玉土の小粒がおすすめです。
五葉松の挿し木の用土は、赤玉土の極小粒(細粒)を使います。
粒が小さいほうが保水性がよく、挿し穂と接する面積が多いですので、乾きにくいです。
鉢の高さの半分ぐらいまで、
赤玉土の極小粒(細粒)を入れました。
用土に水をたっぷり与えて、十分に湿らせます。
鉢の底から泥水が流れます。
赤玉土の表面に付着した微塵が流れ出ます。微塵は細かい粒で固まると水通りが悪くなりますので、最初にキレイに流し出すことが必要です。
五葉松の挿し床が準備できました。
五葉松の挿し木
五葉松の挿し穂と挿し床の準備ができましたので、五葉松の挿し木をします。
挿し床に、割りばしなどの棒で、穴を作ります。よく切れる刃物で挿し穂の切り口を作りましたので、切り口が傷つかないように、穴を作り、挿し穂を挿します。
発根促進剤ルートンを塗る
植物の発根を助ける発根促進剤ルートン。発根する可能性が高くなります。
ホームセンターなどで購入できます。価格が安いですので、使うことをおすすめします。
発根促進剤ルートンは、粉末ですので、鉢受け皿などの容器に出して使います。
使い方は、水で溶いてルートン液を作り、挿し穂を漬けたり、少量の水でペースト状にして切り口に塗ったりします。
粉末のまま使う簡単な方法を紹介します。
挿し穂は
水揚げで
水に濡れていますので、粉末の
発根促進剤ルートンが簡単に付着します。
挿し穂の切り口を、粉末の発根促進剤ルートンの中に入れるだけで、簡単に付着できました。
挿し床に挿し穂を挿す
割りばしなどの棒で作った穴に、
五葉松の
挿し穂を挿します。
挿し穂と穴の間に隙間がありますので、
用土を入れます。
挿し穂は深く挿すほうが、風などで動くことがなく、
発根しやすくなります。
8本の挿し穂を挿し床に挿して、五葉松の挿し木が完成しました。
五葉松の挿し木の管理
挿し木した後は、すぐに水遣りをします。たっぷり水を与えます。用土が水を含むことで、挿し穂がしっかり固定されます。
五葉松の挿し木は、水遣りをして、用土が湿った状態を維持します。水遣りができないときは、鉢受け皿に水を入れて、腰水で管理するとよいです。
霧吹きで葉に水を与える葉水は、根がなくなり水の吸収が少なくなっていますので、葉が萎れることを防ぐ効果が高いです。
五葉松の挿し木は、直射日光が当たらない明るい日陰で管理します。風が強く吹くと挿し穂が動きますので、風が当たらない場所が適しています。
五葉松の挿し木は、発根するまで時間が掛かりますので、葉が枯れないように、ビニール袋を使って密閉挿しにします。
ビニール袋やペットボトルを使った密閉挿しは、葉が枯れること防ぎますが、カビが発生しやすいデメリットがあります。
用土は、雑菌が少なくなるように新品を使い、枯れた葉はカビが発生する原因になりますので、すぐに取り除く必要があります。
五葉松を
挿し木した鉢に、ビニール袋をかぶせます。
ビニール袋が風で飛ばないように、ビニールタイで固定します。ビニール袋をかぶせやすいように、縦に長い鉢を使いました。
挿し穂が鉢の高さより上に出ていませんので、ビニール袋をかぶせやすくなります。
水遣りができませんので、鉢受け皿に水を入れて、底面給水するとよいです。
鉢底石の代わりに、赤玉土の小粒を使っていますので、底面給水できます。
五葉松の挿し木のポイント
- 一晩ぐらい水につけて水揚げ
- 水の中で切る水切りで切り口を斜めに切る
- 発根促進剤ルートンを塗る
- 挿し床の用土は赤玉土の極小粒(細粒)
- 乾かないように密閉挿しで管理
五葉松の挿し木のポイントは5つだけです。難しいことはありませんので、気軽にチャレンジできます。
五葉松の挿し木の今後
今後の五葉松の挿し木の様子は、この記事を更新します。
発根の様子、暑い夏の管理、涼しい秋に成長、冬越し、翌シーズンの春に鉢上げするまでを記録します。
6月7日に、五葉松の挿し木をしました。
九州地方の福岡県の平野部で栽培しています。6月上旬に梅雨入りして、梅雨明けは、例年並みなら7月下旬になりますので、1ヶ月間ぐらいあります。
梅雨の時期は、雨の日が多く、挿し木の管理が簡単です。
梅雨が明けると、本格的な夏になり、気温が上昇します。発根に適した温度を超えますので、梅雨の間に発根できるか?が大きなポイントになります。
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