もみじは、ムクロジ科カエデ属の落葉高木で、カエデの中で葉の切込みが深い品種をもみじと呼びます。
もみじは、葉の形や色が異なる多くの園芸品種があり、美しい葉を楽しめることが特徴です。園芸品種の中には、挿し木や種から増やすことが難しいものがあります。
育てているもみじの中に、葉が鮮やかな紅色で、切れ込みの深い紅鏡(ベニカガミ)がありますので、紅鏡のミニ盆栽を作るために、挿し木で増やすことにチャレンジします。
もみじの園芸品種である紅鏡の挿し木について調べましたが、情報が少なく、挿し木の成功率などが不明ですので、確認します。
もみじの鉢植え
もみじを鉢植えで育てています。品種は、紅鏡(ベニカガミ)になります。春は濃い赤色、夏は濃い緑色、秋は鮮やかな紅色に紅葉するオオモミジで、切れ込みが深いことが特徴です。
切れ込みが深く、細長く、濃い赤色の
葉が美しいです。
葉の大きさは5センチぐらいで、オオモミジ系ですので、少し大きなサイズになります。
もみじの剪定
もみじの鉢植えは、枝が長く伸びています。枝が長く伸びますので、
剪定する必要があります。
もみじの剪定の時期は、落葉後から冬の間が適しています。または、新しく芽吹いた枝を5月中旬ごろに剪定して、樹形を整えることができます。
6月になりましたが、長く伸びた新しい枝を
剪定します。
長く伸びた枝を剪定しましたので、もみじの鉢植えは、スッキリしました。
剪定した枝を捨てることは、もったいないですので、挿し穂にして、挿し木にチャレンジします。
もみじの挿し木の時期
もみじの挿し木に適した時期は5月下旬~7月上旬です。発根するまで時間が掛かりますので、梅雨入り前がおすすめです。
前年に伸びた枝を使う挿し木は、「古枝挿し」と呼ばれます。葉が芽吹く前の3月頃に挿し木をすることから「春挿し」と呼ぶこともあります。
新しく芽吹いて伸びた枝を使う挿し木は、「緑枝挿し」になります。
「古枝挿し」と「緑枝挿し」、それぞれにメリットとデメリットがあり、樹種によって成功率が異なります。
挿し木に適した時期は、その植物がよく成長する時期の少し前です。挿し穂の発根がよく、剪定で切った枝の回復も早くなります。
もみじの挿し木に必要な道具
もみじの挿し木に必要な道具は、
- 発根促進剤ルートン
- カッターやカミソリなどの刃物
- ハサミ
- 鉢
- 割りばしなどの棒
- 赤玉土の極小粒(細粒)
- ビニール袋とビニールタイ
ホームセンターや100均で購入できるものになります。
もみじの挿し穂を作る
もみじの鉢植えを
剪定した枝を使って、
挿し穂を作ります。
挿し穂の下の方は、土に挿しますので、葉を取り除きます。手で取り除くと、樹皮が剥がれることがありますので、葉の付け根をハサミで切るとよいです。
挿し穂は、先端の残した葉をハサミを使って半分に切ります。大きな葉は2/3ぐらいを切り、小さくします。
葉から蒸散する水の量を減らす効果があります。植物は、葉で蒸散することで、根から水を吸収します。
根から水を吸収することができませんので、蒸散する量を減らします。
すべての
葉を半分に切りました。
もみじを剪定した枝が、挿し穂になりました。
6本の挿し穂がありますので、半分の3本ぐらいは発根して、もみじの挿し木を成功させたいです。
大きな挿し穂の長さは、7センチぐらいです。
小さい挿し穂は3センチぐらいになります。
もみじの挿し穂の水揚げ
五葉松を芽切りして、新芽から作った挿し穂を水揚げをします。水揚げする時間は、30分から2時間ぐらいが基本です。
水揚げをする時間は、一晩などといろいろな情報がありますが、2時間ぐらいで十分です。
葉と枝がたっぷり水分を含むことで、萎れて枯れることを防ぎます。葉と枝が水に漬かるように、水揚げは大きな容器が適しています。
もみじの挿し床の準備
挿し木で用土を入れた容器のことを挿し床と呼びます。もみじの挿し床は、プラスチック製の鉢を使います。
挿し穂の長さの半分から2/3ぐらいを土の中に埋めますので、挿し穂の長さから鉢のサイズを決めます。
鉢の直径は10.5センチ、3.5号になります。
鉢の高さは13センチぐらい。
もみじの紅鏡の挿し木は、発根できるか?不明ですので、挿し穂が枯れにくい密閉挿しをします。
密閉挿しは、湿度を高く保つことで葉からの蒸散を抑え、挿し穂が萎れて枯れることを防ぐ方法です。
鉢をビニール袋で覆い、密閉しますので、高さが大きい鉢が必要になります。
水はけがよくなるように鉢底石を敷きますが、密閉挿しで管理しますので、水遣りのときにビニール袋を外すことが面倒です。
鉢底石の代わりに、赤玉土の小粒を敷きます。水を吸収できますので、ビニール袋を外すことなく、底面給水で、水遣りができるようになります。
鉢の底が見えなくなるぐらいに、赤玉土の小粒を薄く敷きます。
暑い夏は、
水切れしないように、
腰水で管理しますので、
鉢底石でなく、
赤玉土の小粒がおすすめです。
もみじの挿し木の用土は、赤玉土の極小粒(細粒)を使います。
粒が小さいほうが保水性がよく、挿し穂と接する面積が多いですので、乾きにくいです。
鉢の高さの半分ぐらいまで、
赤玉土の極小粒(細粒)を入れました。
鉢の底から泥水が流れます。
赤玉土の表面に付着した微塵が流れ出ます。微塵は細かい粒で固まると水通りが悪くなりますので、最初にキレイに流し出すことが必要です。
もみじの挿し床が準備できました。
もみじの挿し木
挿し穂と挿し床の準備ができましたので、もみじの挿し木をします。
挿し床に、割りばしなどの棒で、穴を作ります。よく切れる刃物で挿し穂の切り口を作りましたので、切り口が傷つかないように、穴を作り、挿し穂を挿します。
発根促進剤ルートンを塗る
植物の発根を助ける発根促進剤ルートン。発根する可能性が高くなります。
ホームセンターなどで購入できます。価格が安いですので、使うことをおすすめします。
発根促進剤ルートンは、粉末ですので、鉢受け皿などの容器に出して使います。
使い方は、水で溶いてルートン液を作り、挿し穂を漬けたり、少量の水でペースト状にして切り口に塗ったりします。
粉末のまま使う簡単な方法を紹介します。
挿し穂は水揚げで水に濡れていますので、粉末の発根促進剤ルートンが簡単に付着します。
挿し穂の切り口を、粉末の発根促進剤ルートンの中に入れるだけで、簡単に付着できました。
挿し床に挿し穂を挿す
割りばしなどの棒で作った穴に、もみじの挿し穂を挿します。
葉だけが地表に出るくらいがよいです。
挿し穂と穴の間に隙間がありますので、
用土を入れます。
挿し穂は深く挿すほうが、風などで動くことがなく、発根しやすくなります。
6本の挿し穂を挿し床に挿して、もみじの挿し木が完成しました。
もみじの挿し木の管理
挿し木した後は、すぐに水遣りをします。たっぷり水を与えます。用土が水を含むことで、挿し穂がしっかり固定されます。
もみじの挿し木は、水遣りをして、用土が湿った状態を維持します。水遣りができないときは、鉢受け皿に水を入れて、腰水で管理するとよいです。
霧吹きで葉に水を与える葉水は、根がなくなり水の吸収が少なくなっていますので、葉が萎れることを防ぐ効果が高いです。
もみじの挿し木は、直射日光が当たらない明るい日陰で管理します。風が強く吹くと挿し穂が動きますので、風が当たらない場所が適しています。
挿し木が難しく、発根するまで時間が掛かる場合は、葉が枯れないように、ビニール袋を使って密閉挿しにします。
ビニール袋やペットボトルを使った密閉挿しは、葉が枯れること防ぎますが、カビが発生しやすいデメリットがあります。
用土は、雑菌が少なくなるように新品を使い、枯れた葉はカビが発生する原因になりますので、すぐに取り除く必要があります。
もみじを
挿し木した鉢に、ビニール袋をかぶせます。
縦に長い鉢を使うことで、挿し穂の先端が鉢のフチより上に出ていませんので、ビニール袋をかぶせやすくなります。
ビニール袋が風で飛ばないように、ビニールタイで固定します。
ビニール袋をかぶせると、水遣りのときに、取り外す必要がありますので、鉢受け皿に水を入れて、底面給水するとよいです。
鉢底石の代わりに、赤玉土の小粒を使っていますので、底面給水できます。
もみじの挿し木のポイント
- 2時間ぐらい水につけて水揚げ
- 水の中で切る水切りで切り口を斜めに切る
- 発根促進剤ルートンを塗る
- 挿し床の用土は赤玉土の極小粒(細粒)
- 乾かないように密閉挿しで管理
もみじの挿し木のポイントは5つだけです。難しいことはありませんので、気軽にチャレンジできます。
もみじの挿し木の今後
今後のもみじの挿し木の様子は、この記事を更新します。
発根の様子、暑い夏の管理、涼しい秋に成長、冬越し、翌シーズンの春に鉢上げするまでを記録します。
九州地方の福岡県の平野部で栽培しています。6月上旬に梅雨入りして、梅雨明けは、例年並みなら7月下旬になりますので、1ヶ月間ぐらいあります。
梅雨の時期は、雨の日が多く、挿し木の管理が簡単です。
梅雨が明けると、本格的な夏になり、気温が上昇します。発根に適した温度を超えますので、梅雨の間に発根できるか?が大きなポイントになります。
更新しました。
もみじの挿し木のその後
10月11日、撮影。
もみじの挿し木は、暑さの厳しい夏は日陰で管理して、2週間に一度、ビニール袋を外して水遣りをしました。
葉が萎れて、枝が枯れた挿し穂は取り除きます。乾燥しないようにビニール袋で保湿していますので、カビが発生しやすく、元気な挿し穂に被害が出ます。
挿し床の底を確認すると、1本のとても細い
根が伸びています。
発根している可能性が高いです。もみじの挿し木は成功?
乾燥しないように被せてある
もみじの
挿し木のビニール袋を取り外します。
1本の
挿し穂だけですが、元気な葉があります。左に枯れた
挿し穂があります。
左の枯れた
挿し穂をピンセットで取り除きました。少しは
発根しているかと思いましたが、全くダメでした。
親木の鉢植えの
もみじは、夏の強い日差しの影響で
葉の状態が悪いです。
半日陰で管理すれば、葉の状態をよくできますが、樹高が大きいですので、よい置き場所がありません。
挿し木で小さな鉢植えを作ることができれば、管理しやすくなりますので、春に新緑、秋に美しい紅葉を楽しむことができます。
もみじの挿し木の発根
もみじの
挿し木は、6本の
挿し穂を挿しましたが、枯れないで残っている
挿し穂は1本だけです。
発根している可能性が高いですので、
鉢上げします。
鉢上げの鉢
もみじの挿し木を鉢上げするために、KANEYA(兼弥産業)のスリット鉢を用意しました。スリット鉢のサイズは2.5号(直径7.5センチ)、CSM-75になります。
スリット鉢の大きな特徴は、八角形の形状と側面から底にスリットが設置されていることです。
ホームセンターや園芸店で販売され、価格が安いですので、おすすめの鉢です。
根詰りすることがなく、もみじを元気に育てることができます。植え替えも2~3年に1回で大丈夫になります。
スリット鉢について、KANEYA(兼弥産業)のホームページで紹介してあります。
スリット鉢は、大地での根張りを鉢の中でも実現するために設計デザインされた理想的な植木鉢です。根のサークリング現象を防止するので、用土の90%以上が有効利用することができ、植物の生育に大きな効果があります。果樹・野菜・鑑賞用などあらゆる園芸に最適です。
MADE IN JAPAN、日本製ですので、耐久性が期待できます。
八角形の頂点に、側面から底にスリットが8つあります。
スリットにより、根が光を浴びて伸びなくなることで、底で根を巻くサークリング現象を防ぎます。
八角形の形状が特徴のスリット鉢ですが、上部は普通の鉢のように円形になります。段差まで用土を入れますと、ウォータースペースができますので、水遣りが簡単です。
植物の成長によいスリット鉢を使うことで、もみじを小さな鉢植えで育てることができます。
サイズが小さいですので、置き場所に困ることがなく、日差しが強く暑い夏は半日陰、霜が降りる寒い冬は軒下などに移動させることで、最適な環境で育てることができます。
準備した
スリット鉢の直径7.5センチと2.5号のサイズですが、八角形に部分は、一回り小さくなりますので、
普通の2.5号の鉢より少し小さい容量になります。
鉢の高さは7センチぐらい。小さいですので、移動が簡単になります。
もみじの挿し穂を取り出す
もみじの挿し木を、鉢に植え替える鉢上げをします。必要な道具は、スコップ、ピンセット、竹串です。
鉢受け皿の中で作業すると、周りを土で汚すことがなく、後片付けが簡単になります。
鉢受け皿は、100均でも販売されていますので、大きなサイズを植え付け・植え替え用に購入するとよいです。
挿し床の鉢を横向きにして土を取り除きます。
底の土は固まっていますので、ピンセットで崩します。
もみじの
挿し穂に
根があります。
発根していますので、もみじの挿し木が成功しました。
発根した
根を切らないように、竹串を使って、慎重に土を崩します。
発根した
もみじの
挿し穂を取り出すことができました。
発根したもみじの挿し穂
発根した
もみじの
挿し穂は、大きくも小さくもなく、中ぐらいのサイズです。6本の
挿し穂を挿しましたので、
もみじの挿し木の成功率は約17%になります。
もみじの挿し木の成功率は、品種によって異なります。「もみじは簡単に発根する」、「もみじの挿し木は難しい」などのいろいろな情報がある原因は、挿し木をする品種が異なるからです。
深い切れ込みがある鮮やかな赤色の葉が美しい「紅鏡」は、挿し木ができる品種であることが分かりました。
挿し穂の枝の
切り口である一番下から3~4の
根が
発根しています。
たくさんの根が発根しているほうが状態がよく、小さな鉢植えやミニ盆栽の素材に最適です。
挿し穂の大きさは8.5センチぐらい。枝の部分は5.5センチと小さく、
ミニ盆栽の素材になります。
もみじの挿し木の鉢上げ
もみじの
挿し木の
鉢上げのために準備したスリット鉢に、
用土を入れます。
用土は、挿し床の土を再利用します。環境を変えないほうが枯れる心配が小さいです。
挿し木は挿し床に深く挿していますので、深植えの状態になります。深植えは樹にとって、よい状態でありませんので、少し浅く植えるとよいです。
もみじの
挿し木の
鉢上げができました。小さな鉢植えですので、管理が簡単になります。
春に芽吹いた葉ですが、寒くなり始める晩秋には、赤色の葉が美しい紅葉が楽しめる可能性があります。
もみじの
挿し木から作った素材の今後の様子は、
この記事を更新します。時間は美しい紅葉の予定です。
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