早春に小さな壺形の白色または紅色の
花が穂状に咲く
アセビ(馬酔木)。小さな
ミニ盆栽を作るために、
アセビを
挿し木で増やして素材を手に入れます。
アセビの挿し木の発根率は、いろいろ調べましたが不明ですので、挿し木をして確認します。
アセビの葉や茎など株全体に、有毒のアセトポキシンが含まれていますので、誤飲や誤食に気をつけて下さい。触る程度であれば害はありません。
アセビの親木
アセビの挿し木をするためには親木が必要です。
ホームセンターで購入したアセビを小さな鉢植えで育てています。挿し木の親木として利用できますので、樹形が悪く、価格が安い苗木でも、購入して育てる価値があります。
アセビの育て方について詳しく書いた記事がありますので、参考にして下さい。
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アセビの鉢植えは、樹高は30センチぐらい。枝が増えていますので、
剪定する必要があります。
剪定した枝を挿し穂に利用して、挿し木にチャレンジします。
アセビの挿し木の時期
アセビの挿し木に適した時期は6~7月です。
前年に伸びた枝を使う挿し木は、「古枝挿し」と呼ばれます。暖かくなり始めた3月から4月にすることから「春挿し」と呼ぶこともあります。
新しく芽吹いて伸びた枝を使う挿し木は、「緑枝挿し」になります。
「古枝挿し」と「緑枝挿し」、それぞれにメリットとデメリットがあり、樹種や品種によって発根率が異なります。
挿し木に適した時期は、その植物がよく成長する時期の少し前です。挿し穂の発根がよく、剪定で切った枝の回復も早くなります。
9月にアセビを剪定した枝を使いますので、「緑枝挿し」の挿し木です。
アセビの挿し木に必要な道具
アセビの挿し木に必要な道具は、
- 発根促進剤ルートン
 - カッターやカミソリなどの刃物
 - ハサミ、ピンセット
 - 水揚げをするための容器
 - 鉢などの容器(挿し床)
 - 竹串や割りばしなどの棒
 - 赤玉土の小粒と極小粒(細粒)
 - ビニール袋
 
ホームセンターや100均で購入できるものになります。
アセビを剪定して挿し穂を作る
鉢植えで育てているアセビを剪定して、剪定した枝を利用して、挿し穂を作ります。アセビの剪定の時期は、花が咲き終わった4~5月が適しています。
アセビの剪定
アセビは1ヵ所から3~4本ぐらい伸びる車枝ですので、枝を根元で切り、樹形を整えます。枝の数が少なくなり、風通しを良くすることで、病害虫の発生を防ぎます。
1ヵ所から2本の枝が出るように剪定しました。
車枝になっている部分をすべて
剪定して2本の枝にしましたので、たくさんの
挿し穂が作ることができそうです。
剪定した枝を利用した挿し木は、無駄がなく気軽にチャレンジできます。
アセビの剪定後。
1ヵ所から2本の枝が出るように剪定しましたので、スッキリしました。小さな鉢植えで育てていますので、このくらいの葉の量なら水切れの心配がなくなります。
アセビを剪定した枝を水につけて水揚げをします。水揚げする時間は、30分から2時間ぐらいが基本です。
水揚げをする時間は、一晩などといろいろな情報がありますが、2時間ぐらいで十分です。
葉と
枝がたっぷり水分を含むことで、萎れて枯れることを防ぎます。
葉と枝が水に漬かるように、
水揚げは大きな容器が適しています。
剪定した枝から挿し穂を作る
アセビを剪定した枝は、長い枝や短い枝といろいろな長さがあります。
挿し木をするための挿し穂は、同じ長さにすると挿し床の鉢に挿しやすくなります。枝の長さを5~10センチぐらいが挿しやすく、オススメです。
たくさんの
挿し穂ができました。
発根率がよくない場合でも2~3本は
挿し木が成功する可能性があります。
アセビの挿し穂の葉切り
挿し穂は、葉をハサミを使って半分に切る葉切りをします。大きな葉は2/3ぐらいを切り、小さくします。
アセビの葉は先端が細く、水切れして枯れやすいです。根がなく水を吸収できないですので、すぐに枯れます。
葉切りすることで、葉から蒸散する水の量を減らす効果があります。植物は、葉で蒸散することで、根から水を吸収します。
根から水を吸収することができませんので、蒸散する量を減らします。アセビの葉は、先端が細いですので、小さなハサミが使いやすいです。
アセビの
挿し穂の
葉切りができました。たくさんの
挿し穂がありますので、
葉切りは大変ですが、1本でも多く
発根して
挿し木が成功するように頑張りました。
アセビの挿し穂を葉切りして、ボリュームが少なくなりました。
挿し穂の切り口を作る
挿し穂の一番下の部分は、水を吸収しますので、枯れることなく、発根して挿し木を功させるために大切な部分です。
剪定したときにハサミで切っていますので、よく切れる刃物でキレイな切り口を作ります。
よく切れる刃物は、カッターやカミソリがおすすめです。新品の刃を使うことで、切れ味がよく、清潔な刃で切ることができます。 樹種や品種によっては、切り口から雑菌が入り、枯れることがあります。
新品の刃がない場合は、熱湯や火で消毒してキレイな状態にすることをオススメします。
切り口を作るときは、水の中で切る水切りをします。水が通る管である道管に、空気が入ることを防ぐためです。道管に空気が入ると、水の通りが悪くなります。
花屋さんなどでも、切り花を作るときに水切りすることが基本ですので、実績のある方法です。
水の中で切る
水切りは、大きな容器を準備すると簡単できます。
刃物を使う作業ですので、ケガに注意します。
切り口を斜めにすることで、断面積を大きくして、水を吸収しやすくします。太い枝は、反対側も斜めに切り、クサビ形の切り口にするとよいです。
すべての
挿し穂を
水切りで
切り口を作りました。
挿し穂が枯れる可能性を小さくすることが、発根して挿し木が成功するためのポイントです。
アセビの挿し木の挿し床の準備
挿し木で、用土を入れた容器のことを挿し床と呼びます。アセビの挿し木の挿し床は、プラスチック製の鉢を使います。
挿し穂の長さの半分から2/3ぐらいを土の中に埋めますので、挿し穂の長さから鉢のサイズを決めます。
挿し木の挿し床の容器
アセビの挿し木の挿し床の鉢は、アップルウェアーのプレステラ105型にしました。
ホームセンターや園芸店で10ヶ組で販売され、価格が安いですので、おすすめの鉢です。
プレステラ105型は、1辺が9センチぐらいの正方形の鉢です。
容器は、どのようなものでも大丈夫ですが、発根した後も、しばらくらの間、そのままの状態で管理しますので、鉢を使いました。
プレステラ105型は、1辺が9センチぐらいの正方形の鉢です。普通の円形の3号(直径9センチ)より、少し大きな鉢になります。
普通の円形の3号(直径9センチ)より、少し大きな鉢になります。
鉢の高さは8センチ。
挿し穂が倒れないように、挿し穂の長さの半分から2/3ぐらいを土の中に埋めますので、挿し穂の長さから鉢のサイズを決めます。
アセビの挿し木の用土
アセビの挿し木の用土は、赤玉土の小粒と極小粒(細粒)です。
挿し木の用土は、配合された専用のものと赤玉土や鹿沼土などがありますが、乾いて水切れしなければ、大丈夫ですので、好みで選ぶとよいです。
普段からよく使い、価格が安く、手に入りやすい赤玉土を使いました。
赤玉土の極小粒(細粒)は直径2~3ミリぐらいです。
赤玉土の小粒は直径3~5ミリぐらいになります
鉢の底は排水性(水はけ)がよくなるように、赤玉土の小粒を入れます。
挿し穂が水切れして、乾かないように保水性が高い用土がよさそうですが、根が成長するためには酸素も必要になります。
発根した後に、根が元気に成長できるようにすると、早く鉢上げすることができます。
鉢の底が見えなくなるまで、赤玉土の小粒を入れます。
小粒の上に赤玉土の極小粒(細粒)を入れ、乾きにくくしました。粒が小さいほうが保水性がよくなります。
アセビの挿し木の用土の量は、鉢の高さの半分から3分の2ぐらいがおすすめです。
挿し穂の先端が、鉢のフチから出ないようにすると風で揺れることがなく、発根した細い根が切れる心配がありません。
挿し木をした後は、乾きにくくするためにビニール袋をかぶせる密閉挿しで管理しますので、挿し穂の先端が鉢のフチからあまり出ないようにします。
挿し穂を
挿し床に挿す前に、
用土に水を与えます。
用土を入れた鉢を水の中に入れて、水をたっぷり吸収させます。
アセビの
挿し木の
挿し床の準備ができました。
アセビの挿し木
アセビの挿し穂と挿し床の準備ができましたので、アセビの挿し木をします。
挿し木は、「挿し穂を作る」「挿し床の準備」「挿し穂を挿し床に挿す」の3つの手順が必要です。1つずつ、ゆっくり丁寧がすれば、初心者の方でも簡単にできます。
発根促進剤ルートンを塗る
植物の発根を助ける発根促進剤ルートン。発根する可能性が高くなります。
ホームセンターなどで購入できます。価格が安いですので、使うことをおすすめします。
発根促進剤ルートンは、粉末ですので、ペットボトルのキャップなど小さな容器を利用して使います。
使い方は、水で溶いてルートン液を作り、挿し穂を漬けたり、少量の水でペースト状にして切り口に塗ったりします。
粉末のまま使う簡単な方法を紹介します。挿し穂は水に濡れていますので、ペットボトルのキャップに入れた発根促進剤ルートンの粉末に挿し穂の切り口付近を入れるだけで、適量を付着させることができます。
すべての挿し穂の切り口に発根促進剤ルートンを付着させました。
アセビの
挿し穂の大きさは、小さなものは枝の部分が4センチぐらい。
大きなものは8センチぐらいあります。
挿し穂の大きさが発根にどのくらい影響するか?アセビの挿し木が成功すれば確認できます。
準備したアセビの挿し穂は8本。半分の4本は成功してほしいです。
アセビの挿し穂と挿し床の準備ができましたので、挿し木をします。
挿し床に、竹串や割りばしなどの棒で、穴を作ります。
よく切れる刃物で挿し穂の切り口を作りましたので、切り口が傷つかないように、穴を作り、挿し穂を挿します。小さな挿し穂が多いですので、竹串を使って穴を作りました。
鉢の底まで到達するように穴を作り、
挿し穂をできるだけ深く挿します。
穴を作らないで挿し穂を挿すと、キレイに切った切り口が傷つき、付着させた発根促進剤ルートンは剥がれます。
できるだけ挿し穂を深く挿して、
動かないように用土を寄せます。
アセビの挿し木が完成しました。
8本の挿し穂をすべて挿すことができました。密集させて挿すことで挿し穂が動くことがなく、発根した根が切れる心配がなくなります。
難しいことはなく、ゆっくり落ち着いて作業すれば、誰にでも簡単にできます。
アセビの挿し木の管理
アセビの挿し穂を挿し床に挿した後は、水を入れた容器に鉢を浸して、たっぷり水を吸わせます。用土が水を含むことで、挿し穂がしっかり固定されます。
鉢底石の代わりに、赤玉土の小粒を使っていますので、底面給水できます。
挿し木をした直後は挿し穂の水分が少なくなり、枯れることがありますので、2~3日は腰水の状態で管理するとよいです。
アセビの挿し木は、直射日光が当たらない明るい日陰で管理します。風が強く吹くと挿し穂が動きますので、風が当たらない場所が適しています。
挿し木が難しく、発根するまで時間が掛かる場合は、葉が枯れないように、ビニール袋を使って密閉挿しにします。
ビニール袋やペットボトルを使った密閉挿しは、葉が枯れること防ぎますが、カビが発生しやすいデメリットがあります。
用土は、雑菌が少なくなるように新品を使い、枯れた葉はカビが発生する原因になりますので、すぐに取り除く必要があります。
ビニール袋をかぶせると、水遣りのときに、取り外す必要がありますので、鉢受け皿に水を入れて、底面給水するとよいです。
アセビの挿し木ができましたので、ラベルを設置します。
たくさんの植物を育てていますので、名前を忘れることがあります。ラベルを設置しますと、水遣りのときに確認できますので、便利です。
小さな鉢ですので、ホームセンターや園芸店で販売されている小さな園芸用ラベルを使います。幅が約12ミリ、長さが約60ミリの短冊です。ラベルを設置します。
小さなラベルをハサミを使って縦に半分に切ると、2倍の枚数になり節約になります。
植物は屋外で管理しますので、時間が経過するとラベルの文字が消えて見えなくなることがよくあります。
ラベル用の専用のペンが販売されていますが、鉛筆が書くほうが文字が消えにくいです。ラベルの表面がツルツルでなく、少しザラザラしたものは鉛筆で書くことができます。
ラベルは土に挿しますので、端に文字を書くとよいです。
ラベルの裏にはアセビの挿し木をした日付を書きました。日付を記載すると、鉢上げの時期が分かりやすくなります。
小さなラベルですので、目立つことがありません。
アセビの挿し木:成功させるポイント
- 2時間ぐらい水につけて水揚げ
 - 水の中で切る水切りで切り口を斜めに切る
 - 発根促進剤ルートンを塗る
 - 挿し床の用土は赤玉土の極小粒(細粒)
 - 乾かないように密閉挿しで管理
 
アセビの挿し木を成功させるポイントは5つだけです。難しいことはありませんので、気軽にチャレンジできます。
今後のアセビの挿し木の様子は、この記事を更新します。
発根の様子、まだ暑い残暑の管理、涼しい秋に成長、冬越し、翌シーズンの春に鉢上げするまでを記録します。
九州地方の福岡県の平野部で栽培しています。9月になりましたが、まだ暑い日が多く、枯れる心配があります。
少し涼しくなると、発根に適した温度になりますので、涼しい秋に発根できるか?が大きなポイントになります。
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