金豆(キンズ)は、ミカン科ミカン属の半耐寒性の常緑性低木です。中国南東部や香港、台湾などが原産地になります。
学名は、Citrus japonica subfoで、豆金柑(マメキンカン)と呼ばれることがあります。樹高が小さく、実も小さい金柑(キンカン)の矮性品種です。
花が咲く時期は6月~8月、花の色は白色で、2~3個の小さな花が集まって咲きます。結実して、直径1センチぐらいの小さな実をつけ、寒くなる晩秋に鮮やかなオレンジ色になり、寂しくなる冬に美しい実を楽しめる樹です。
オレンジ色の実は、中に大きな種があり、果実が少なく、残念ながら、実を食べることはできません。
耐寒性が弱いですが、関東地方より西の温暖な地域は、屋外で冬越しできますので、庭植えすることが可能です。
12月下旬に、ホームセンターで、金豆(キンズ)の苗木が、広告の品で安く販売されていましたので、購入して育てます。
金豆(キンズ)は、11月頃から
実が色づき始め、寒い冬の間は、オレンジ色の
実が楽しめます。
2月中旬に、すべての実がなくなりました。鳥に食べられたようです。美しい実が鳥に食べられないように、ネットなどで対策をすることをおすすめします。
金豆(キンズ)の苗木
金豆(キンズ)の苗木は、美しい
実がある冬にホームセンターや園芸店で販売されています。
暖地性で寒さに弱い性質ですので、
植え付け・植え替えの時期は、暖かくなった5~6月が適しています。
購入した時期は、植え付け・植え替えの時期ではありませんので、ビニールポットのままで管理していました。
6月になり、新芽が芽吹き始めましたので、鉢に植え付け・植え替えをします。
購入した冬に、美しく飾りたい場合は、根鉢を崩さないで、一回り大きな鉢に植え付け・植え替えをするとよいです。
金豆(キンズ)の苗木の樹高は20センチぐらい。
金柑(キンカン)の矮性品種ですので、地植えしても、樹高が1メートルぐらいまでしか成長しません。
直径10.5センチ、3.5号のビニールポットに植えられています。
幹が左に伸びて、低い所に
枝がたくさんありますので、樹形を作りやすい苗木です。
金豆(キンズ)の葉は細長く、深緑色で光沢があります。単葉で卵状楕円形から倒披針形、葉の縁はギザギザがなく、滑らかな全縁です。
金豆(キンズ)の葉の長さが4センチぐらい。
葉の幅は1センチぐらい。
金豆(キンズ)はトゲがあります。トゲは鋭く、葉の根元にあり、目立ちませんので、注意が必要です。
金豆(キンズ)は、樹高が1メートルぐらいまで成長する常緑低木です。大きく成長すると、管理が大変になりますので、小さな鉢植えで育てます。
小さな鉢植えで育てることで、管理が簡単になります。
日当たりを調節するために場所を移動したり、植え替えをしたり、小さな鉢植えは簡単にできます。
金豆(キンズ)を小さな鉢植えで育てるために、KANEYA(兼弥産業)のスリット鉢を用意しました。
スリット鉢について、KANEYA(兼弥産業)のホームページで紹介してあります。
スリット鉢は、大地での根張りを鉢の中でも実現するために設計デザインされた理想的な植木鉢です。根のサークリング現象を防止するので、用土の90%以上が有効利用することができ、植物の生育に大きな効果があります。果樹・野菜・鑑賞用などあらゆる園芸に最適です。
MADE IN JAPAN、日本製ですので、耐久性が期待できます。
スリット鉢のサイズは3.5号(直径10.5センチ)、CSM-105になります。
スリット鉢の大きな特徴は、八角形の形状と側面から底にスリットが設置されていることです。
ホームセンターや園芸店で販売され、価格が安いですので、おすすめの鉢です。
根詰りすることがなく、金豆(キンズ)を元気に育てることができます。植え替えも2~3年に1回で大丈夫になります。
八角形の頂点に、側面から底にスリットが8つあります。
スリットにより、根が光を浴びて伸びなくなることで、底で根を巻くサークリング現象を防ぎます。
八角形の形状が特徴のスリット鉢ですが、上部は普通の鉢のように円形になります。
段差まで用土を入れますと、ウォータースペースができますので、水遣りが簡単になります。
植物の成長によいスリット鉢を使うことで、金豆(キンズ)を小さな鉢植えで育てることができます。
日差しが強く暑い夏は半日陰、霜が降りる寒い冬は軒下などに移動させることで、最適な環境で育てることができます。
準備した
スリット鉢の直径10.5センチと3.5号のサイズですが、八角形に部分は、一回り小さくなりますので、
普通の3.5号の鉢より少し小さい容量になります。
鉢の高さは9センチぐらい。大きくありませんので、移動が簡単になります。
スリット鉢は価格が安いので、いろいろな鉢のサイズを購入してあります。左から3号(直径9センチ)、3.5号(直径10.5センチ)、4号(直径12センチ)。
苗木を購入するときは、鉢のサイズ選びで悩む必要がありません。
金豆(キンズ)の苗木は、3.5号(直径10.5センチ)のビニールポットですので、4号(直径12センチ)~5号(直径15センチ)が、適した鉢のサイズになります。
スリット鉢のデメリットは、デザイン性がないことです。価格が安く、生産者向けの商品ですので、仕方がありません。
100均の4号の鉢が、鉢カバーとしてピッタリのサイズです。実が美しい時期は、鉢カバーに入れて飾り、普段はスリット鉢のまま育てます。
ビニールポットの状態のままで、鉢に入れると、植え付け・植え替えをしたときの雰囲気が確認できます。
金豆(キンズ)の用土
金豆(キンズ)は、水はけ(排水性)と水もちがよく、肥沃な用土が適していますので、ホームセンターや園芸店で販売されている普通の培養土で育てることができます。
作る場合は、赤玉土の小粒と腐葉土を7:3の割合で混ぜた用土を使います。
赤玉土と
腐葉土が、均一になるように混ぜます。
スリット鉢は、スリットが多く設置され、水はけ(排水性)がよいですので、鉢底石の必要がありませんが、スリットから用土が流れ出ることを防ぐために、鉢底石を敷きました。
金豆(キンズ)は、水はけがよい環境を好みますので、鉢底石を敷くことをおすすめします。
鉢底石の上に用土を入れます。一度、土入れに入れると、用土がよく混ざりますのでおすすめです。
園芸用品のスコップ(ショベル)は、実用的ではありません。土入れのほうが使いやすいです。土入れは100均で大と小の2個セットで販売されています。
鉢の高さの底から3分目まで用土を入れて、金豆(キンズ)の鉢の準備ができました。
植え付け・
植え替えは、
最初に鉢の準備をします。
土の中にある根は乾燥しやすいですので、短時間で植え付け・植え替えをする必要があります。
金豆(キンズ)の植え付け・植え替え
金豆(キンズ)の苗木を、鉢に植え付け・植え替えをします。
必要な道具は、ハサミ、ピンセット、竹串です。
鉢受け皿の中で作業すると、周りを土で汚すことがなく、後片付けが簡単になります。
鉢受け皿は、100均でも販売されていますので、大きなサイズを植え付け・植え替え用に購入するとよいです。
金豆(キンズ)の植え付け・植え替えに適した時期は、5月~6月になります。
苗木を掃除してキレイにする
金豆(キンズ)の苗木は、黄色に変色している
葉があります。
植え付け・植え替えをする前に、
ピンセットで取り除いてキレイにします
苗木は植え付け・植え替えをする前に、キレイな状態にするとよいです。
最初に、ポットの底を確認します。底の穴から根がたくさん出ていますと、ポットから取り出すことができません。
無理に取り出しますと、根が途中で切れますので、穴から伸びた根はハサミで切ります。
金豆(キンズ)の苗木を
鉢受け皿の中に横向きに置きます。
幹の株元を手でつかみ、ビニールポットの底の角を指でつまむように押すと、簡単に取り出すことができます。
上向きに引っ張って、ビニールポットから取り出すと、根鉢が崩れて落としたり、土がこぼれたりしますので、置いて作業すると失敗なくできます。
金豆(キンズ)の苗木をビニールポットから取り出すことができました。
金豆(キンズ)の根鉢
金豆(キンズ)の苗木をビニールポットから取り出すことができ、根鉢になりました。
根鉢は、苗を鉢やビニールポットから取り出して、根と土が固まって見えている状態のことです。
根鉢の状態を確認すると根の量は多く、鉢の底で根が巻くサークリング現象が発生しています。
根鉢の底は土がなく、根だけになっていますので、水を吸収することができません。
緑色の根は新しく、茶色の根は古く、黒色の根は腐敗しています。
根鉢の底を三分の一ぐらいを崩して、一回り大きな鉢に植え付け・植え替えすることが基本です。
根鉢を崩して、植え付け・植え替えの準備
根鉢の表面の土は、水遣りで土の粒が崩れると、水通りと通気性が悪くなります。
植え付け・植え替えのときに、表面の土を崩すと状態がよくなり、見た目も改善します。
育てているときに、表面の土を崩すことを「中耕(ちゅうこう)」と言います。雑草を取り除き、水通りと通気性が改善しますので、おすすめです。
竹串を使って、幹の周りを丁寧に、根元が見えるまで、根鉢の表面の土を取り除きました。
公園などにある大きな樹は、根の一部が地表に見える状態です。根元の位置が地表になると、樹の成長がよくなります。
根も呼吸をしていますので、水はけ(排水性)と通気性が大切です。
鉢に植え付け・植え替えをするときに、根元の位置を地表にしてあげましょう。
竹串の先端が
根元の位置になります。
苗木は、倒れることを防ぐために深植えされていることが多く、金豆(キンズ)の苗木は、根元が2センチぐらい土の中に埋まっていました。
鉢に植え付け・植え替えをするときに、根元の位置を地表にしてあげましょう。
幹から伸びている細い
根を切ります。
上向きに伸びている
根がありますので、ハサミで切ります。
根元がキレイな状態になりました。
根元が見えるまで、表面の土を取り除くと、根鉢の高さが小さくなりましたので、底は軽く崩すだけにします。
根鉢の底は、
根が巻くサークリング現象で、
根の塊になっています。このままの状態で
植え付け・植え替えをすると、
根の成長がよくありませんので、崩します。
根鉢の底の
根を崩しました。長く伸びた
根がたくさんあります。
長く伸びた
根は不要ですので、ハサミで短く切ります。
根を切ると、枯れることが心配になりますが、水を吸収している
根は、先端の細い
根だけですので、大丈夫です。
根鉢の側面も、根や土が固まっていますので、竹串を使って、崩します。
土を崩すことで、
植え付け・植え替えした後に、
根が成長しやすくなります。
根鉢をたくさん崩すと、枯れることが心配になりますが、植え付け・植え替え後の管理をしっかりすれば、大丈夫です。
枯れる原因は、根詰りによる根腐れが多いですので、不要な根は取り除きます。
根鉢を崩して、鉢に植え付け・植え替えをする準備ができました。
鉢に植え付け・植え替えをする
根鉢を崩した
金豆(キンズ)を
用土を入れて準備した鉢に入れます。
根元の位置を確認します。
スリット鉢の段差まで用土を入れますので、根元の位置が段差になるように調節します。
高い場合は、3分目まで入れた用土を減らします。低い場合は用土を増やします。少し低いですので、用土を足しました。
少し離れて見ると、バランスよく、
植え付け・植え替えできているか?確認しやすいです。
根鉢の中心部分を竹串で挿すと、水通りや通気性がよくなります。
鉢の中に入れていますので、根鉢が崩れる心配がありません。
根鉢と鉢に隙間がありますので、用土を入れます。
根の間に用土が隙間なく入るように竹串で突きます。
赤玉土は粒状ですので、隙間ができやすくなりますので、注意が必要です。
表面の土は、腐葉土を入れないで、赤玉土だけの用土にしました。
表面に腐葉土があると虫が発生しやすくなりますので、注意が必要です。
スリット鉢の段差より少し下まで用土を入れます。
ウォータースペースを作るために、鉢のフチより1~2センチ下まで用土を入れますが、スリット鉢は、段差がありますので、分かりやすいです。
仕上げに、表面の土は
軽石を敷きます。
軽石は固く、
水遣りをしても崩れませんので、キレイな状態が長持ちします。
水流が強い散水ノズルで水遣りしても、赤玉土の粒が崩れることがありません。
雨や水遣りで土が跳ねて、葉に付着しますと、病気の原因になりますので、表面の土を軽石にするとよいです。
金豆(キンズ)の苗木を鉢に植え付け・植え替えをすることができ、小さな鉢植えが完成しました。
金豆(キンズ)の管理
金豆(キンズ)の苗木を鉢に植え付け・植え替えした後は、すぐに水遣りをします。
鉢の底から透明な水が流れるまで、たっぷり水を与えます。
金豆(キンズ)の水遣りは、鉢の表面の土が乾いたら、たっぷり水を与えることが基本です。
水の与え過ぎに注意が必要です。乾き具合は、鉢を手に持ち重さで判断するとよいです。小さな鉢植えは簡単にできます。
春と秋は1~2日に1回、暑い夏は1日1~2回、寒い冬は、完全に乾かないように、3~4日に1回ぐらいが目安になります。
つぼみができてから花が咲く期間は、水切れに注意が必要です。水切れすると。つぼみや花が傷みます。
水遣りをすると、最初は鉢の底から茶色の泥水が流れます。赤玉土の表面に付着した微塵です。
微塵が鉢の中で固まると、水通り(排水性)が悪くなりますので、透明の水になるまで、たっぷり水遣りをします。
植え付け・植え替えした後の1週間ぐらいは、直射日光が当たらない明るい日陰で管理します。
葉が萎れるなどの異常がなければ、少しずつ日の当たる場所に移動させます。
金豆(キンズ)は、日が当たりがよい場所で育てます。真夏は西日が当たらないように管理すると、水切れを防ぐことができます。
日陰でも、育てることができますが、枝が徒長したり、花の数が少なくなったりします。
耐寒性は弱く、霜に当たると枯れることがありますので、寒い冬は室内などで保護すると安心できます。小さな鉢植えですので、室内で管理しやすいです。
金豆(キンズ)の育て方のポイント
- 日当たり・風通しがよい場所で育てる。
- 用土は普通の市販の培養土。作る場合は赤玉土と腐葉土を7:3で配合。
- 水遣りは、表面の土が乾いたら、たっぷり水を与えます。
- 肥料は春から秋に、緩効性化成肥料を与えます。
- 植え付け・植え替えは、5月~6月頃が適しています。
金豆(キンズ)は基本を大切にすれば、初心者の方でも育てることができます。
鉢植えは根詰りしないように、2~3年に1回、植え替えをします。根詰りすると花の数が少なくなります。実が落ちた3月から5月に、剪定をするとよいです。
耐寒性が弱いですので、温暖な地域でも、霜に当たらない場所で管理します。寒さが厳しい地域は室内で保護します。
金豆(キンズ)の今後
購入した金豆(キンズ)は、深植えされていましたので、植え付け・植え替えすることで、少し樹高が大きくなりました。
6月3日に、金豆(キンズ)の苗木を鉢に植え付け・植え替えしました。
九州地方の福岡県の平野部で育てています。温暖な気候ですので、屋外での冬越しは簡単ですが、夏の水切れが心配です。
金豆(キンズ)の今後の様子はこの記事を更新します。
1年間の育てる様子を記録します。
美しい実が楽しめ樹を育てていますので、参考にして下さい。
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